バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

強烈無比、映画史上に残る傑作~道化が道化を笑う "HE WHO GETS SLAPPED"

 

これはきてますね。

問答無用というか

あまりにも圧倒的な出来映えなので

逆に寛いで観るのが難しい。

(だから一般的な知名度が低いのかも。あと邦題が酷い、”殴られる彼奴”・・・あいつ、って読めないですよね。読めたとしても語感がちょっとね)

 

 

ある科学者(ロン・チェイニー

長年の研究成果を裕福な友人に盗まれ

妻まで奪われます。

 

 

アカデミーの面々に嘲笑されるチェイニー

もう学問の世界には居ることが出来ません。

不眠不休で何年も取り組んだ結果がこれだ

俺は道化者、自分でも大笑いしてしまう馬鹿者なんだ・・・

 

 

チェイニーはサーカスに入団

今や大人気のピエロなのです。

 

 

彼の持ち芸は

「殴られピエロ」

 

仲間のピエロから際限なく叩かれまくります。

 

 

ピエロは後から後から登場し

 

 

頬を張り倒される度に

チェイニーは地面に崩れ落ちます。

彼の身体が動かなくなるまで

その時間は永遠に続くのです。

 

 

ある日、美しい馬乗り曲芸の少女(ノーマ・シアラー)が

新しく入団。

 

彼女には思いを寄せる団員(ジョン・ギルバート)が居るのですが

金に目が眩んだ彼女の父親は

ある金持ちの男に娘を売り渡してしまいます。

なんとその男は

かつてチェイニーを陥れた友人(マーク・マクダーモット)

ではありませんか。

 

 

チェイニーは決意します。

この純粋な娘を守ってあげよう

そして俺自身の復讐を果たすのだ・・・

 

 

チェイニーは

憎き旧友とシアラーの父親相手に

一世一代の道化芝居を仕掛けます。

 

目的は果たされたのですが

チェイニーも深い傷を負ってしまいます。

(覚悟の死)

 

シアラーの腕に抱かれて安らかな笑顔を浮かべるチェイニー

 

「あなたのやることはみんな冗談だと思っていた。そしてあなたの本名を尋ねることもしなかった。だってあなたはピエロだったから・・・」

 

チェイニーは仲間たちから

”He” とだけ呼ばれていたんですね。

誰も本名を知らない。

メークアップで素顔も見せず、名前さえも捨て去っていたわけです。

 

 

主人公を演じるロン・チェイニー

入魂を通り越して

狂気すら感じさせる限界演技の連続。

 

 

監督はスゥエーデンの名匠

ヴィクトル・シェストレム。

 

名作ベスト〇〇などの

ランキングではおよそ見かけませんが

あらゆる外国映画のなかでも

トップ100クラスの作品ではないでしょうか。

 

 

機会がありましたら

本編を是非に。

100年前にこんな映画が存在していたのだと

(時々差し込まれるシュールな幻想シーンも見もの)

感服されることでしょう。

 

scene from "He Who Gets Slapped" (1924)

www.youtube.com