バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

S&C サイモンとガーファンクルじゃないよ、シールズ&クロフツだよ

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シールズ&クロフツという男性デュオ、

70年代に割と人気があったんですよ。

 

ベースはカントリーなんですけど

洒落たメロディー&アレンジの曲があって

バックのミュージシャンも腕利きが揃ってましたので

LPレコード、よく聴いてましたね。

 

Cause You Love

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1971年の作品ですけど、独特のメロディ&ハーモニーが

既に楽しめます。

 

翌年に”想い出のサマーブリーズ”という

大ヒットが出ましてブレイク。

それから数年間、ヒットチャートの常連になります。

 

Jessica

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この人たちは曲作りも上手いんですよね。

この曲も掴みからしてOK、

耳にすっと入ってきます。

 

カントリーベースのバンドってそれこそ星の数ほど

あるかと思いますが、そのなかでも

オリジナルの良さは際立ってますね。

彼らの作品は随分(ソウルのアーティストなどにも)

カバーされてますから。

 

I'll Play For You

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非常にポップなナンバー、

アレンジが職人芸です。

うーん、いかにも70年代のサウンドですねえ。

 

アルバム単位で好きだったのは

1976年の "GET CLOSER"

中学生の頃ですかね、

ホントによく聴いたなあ~

 

Baby Blue

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サビのパートが一粒で2度美味しい。

もうこの頃はフォーク~カントリー風ではなく

コンテンポラリー・ポップですね。

(ギターがレイ・パーカー、リー・リトナー、キーボードがジョー・サンプルデヴィッド・ペイチと豪華な顔ぶれ)

 

にしても、もう40数年前のことなのだなあ・・・

小百合とサユリ

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サユリスト

と呼ばれている人たちが居ます。

女優、吉永小百合の熱狂的なファンの方々。

年齢でいえば団塊の世代&もうちょい上にあたる

現在では70代中頃~のお歳でしょうか。

(後追いの世代は別にして)

 

”小百合ちゃん”(中平まみ著・講談社)は

吉永主演の映画を4本監督した中平康の娘(小説家)による一冊、

プライベートでも吉永と交流があった人です。

 

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こちらは多数の著書があるノンフィクション作家

関川夏央ルポルタージュ(”昭和が明るかった頃”・新潮文庫

 

タイトルからは分かりにくいのですが、

吉永小百合の映画を製作した日活にスポットを当てて

1960年代のいわゆる

「高度成長時代」とはどんな時代だったのかを記述した力作。

映画評論本ではないのですが、個々の作品内容や

吉永小百合の私生活についても詳しく触れられています。

 

この2冊はどちらとも

単なる礼賛本ではなく、

相当にクリティカルな視点~

吉永の出演作の出来具合や時には本人に対してまで、

が目立ちます。

 

どうも首をひねってしまうような映画が多過ぎる

製作サイドの問題もあるが吉永側(本人および家族)にも

その原因の一端があったのでは?

ということなんですね。

 

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確かに膨大な数の出演作があるわけですが

作品として高い評価を受けているのはそれほど多いわけでもなく

また、そのほとんどが活動初期に集中しています。

 

70年代以降も映画への出演は続くのですが

(大作、話題作も含まれます)

むしろそれよりもテレビのCM、あるいは文化人としての

活動が目立ったように記憶しています。

 

60年代前半の数年間は

1年で10本以上の主演作を撮り、

吹き込んだレコードの数もこれまた膨大です。

 

当然極度の過密スケジュールなのですが

この人の凄いところは学業を放棄しないんですね。

学校に行けない、卒業に必要な単位が不足する、クラスで無視される・・・

でも粘って粘って、大学卒業を果たします。

 

それでいて映画の撮影に臨む際には

絶対に手を抜かない、セリフは完璧に覚えていく

という。

 

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初の本格的主演作では、失神してまで

水中に体を浮かべるシーンに挑む。

それ以外にも、あまりの忙しさに

体調を崩したこと数知れず。

 

当時映画館で観た人に伝わったんだと思うんですよ。

”この女優さん(まだ少女、ですが)はただ演技に熱心なだけではない。

作品世界の中だけでなく、実像もそうに違いない。真っ直ぐにひたむきに

毎日を必死に生き抜いているんだ”

と。

 

その全力疾走の姿が、それこそ1960年代(特に東京オリンピックまで)

の日本人の生き方であって、その集合体が

高度成長時代と呼ばれるものであったのかなと。

吉永小百合はまさに”代表選手”であったからこそ

多くの日本人がスクリーンの彼女に熱狂的な声援を送ったのでしょう。

 

(同じ60年代でも後半になるとその中身は微妙に変質していき

急速な映画界の斜陽にも繋がっていくように思います)

 

おっとっと、私はサユリストでも映画マニアでもありませんので

戯言のほど

どうぞご容赦を・・・

A HELPING HAND~外に出るのはおよしなさい

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ここのところ、コロナウイルスの新規感染者増加が

続いているタイ。

今までは少なかった重症化~亡くなる方も増えていて

憂慮すべき事態になっています。

 

現状は ”ソフト・ロックダウン” といったところで

夜間外出禁止令などは出されていませんが

休業通達の対象となる職種が拡大していて

デパートやコンビニなども時短営業となっています。

 

さて先日、時々

部屋に寄ってくれるタイの知人が

大きな袋を抱えて、ご到着。

 

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どうやら、車もバイクも自転車もない私を

気遣って(憐れに思って)、食料品などを

”配給”しにきてくれたようです。

 

「今度は本当に危険よ。可能な限り外出は控えたほうがいいわ。近所に行くのもね」

 

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レンジでチンのご飯からミネラルウォーター

缶詰、インスタントラーメン、スナック、菓子類まで

しばらくは籠城できそうなほどの充実ラインアップ。

(これ以外にもソフトドリンクや総菜類も色々と)

 

感謝、感激の私

ついうっかりの一言を・・・

「あっ、このツナの缶詰美味しいんだよね。特にビールとの相性が最高。あとで近くのスーパーに買いに行こうっと」

 

もちろん怒られましたよ。

それじゃあ、なんの意味もないでしょ!

アルコールもこの際止めなさい!!

 

実にまったくもって、あいすみません・・・

でもやっぱり行こうかな。

勿論、部屋を出るその時から

マスクを心掛けますので。

バンコクでは外出時のマスク着用が義務付けられました。違反者には罰金が科せられます)

あらゆるフォーマットに全対応、才媛キーボード奏者のレイチェル Z

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こちらはレイチェル Z(Rachel Z)

というニューヨーク出身のキーボード奏者の

ファーストソロアルバムで

1995年作。

 

前半がアコースティック、

後半がエレクトリック編成と

既に多彩な才能を発揮。

 

Trust The Universe

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実にマルチな人で

オーソドックス~フリー~フュージョン

あらゆるジャンルを弾きこなします。

ベースやドラムスが誰であっても

かっちりハマるという。

 

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ジョニ・ミッチェルの作品で構成された

”MOON AT THE WINDOW”(2002年)

他のアルバムでも、ジャズの範疇にとらわれずに

ロックやポップスナンバーを取り上げています。

 

E.S.P

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ライブでマイルスの名盤、”E.S.P” のタイトル曲を演っています。

上手いなあ~

 

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そして、これが名盤だ!

なんとウェィン・ショーターの作品で固めた

”ON THE MILKY WAY EXPRESS”(2000年)

 

ウェインの曲をプレイするというのは

相当の覚悟というか自信が無ければ

出来ない芸当ですが

(ボロボロになってしまうので)

本作は実に素晴らしい仕上がりで

アノトリオのアルバムとしても

個人的にはもっとも気に入っている一枚です。

(レイチェルはウェインとの共演歴あり)

 

On The Milky Way Express

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もう、言うこと無し!

プログレロックも真っ青、超アヴァンギャルドなカルトの一枚 ”SMILEY SMILE”

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これはきてます。

いっちゃってますね。

 

ビーチボーイズの1967年発表

”スマイリー・スマイル”

 

真のカルト名盤の名に恥じない

訳の分からない作品集。

 

A面、B面(LPレコードの話ね)

のトップには非常に出来の良いシングルヒット曲が

置かれているのですが

それ以外のナンバーが摩訶不思議。

 

Whistle In

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メンバーのハーモニーと効果音を中心に

最小限の楽器のみを使った

サウンドコラージュが展開されています。

 

Wind Chimes

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歌詞も通常のラブソングのそれではなく

超現実的(あるいはナンセンス)な語句のオンパレード。

一つの文章を延々と繰り返すなど

「これがあの太陽燦燦、波乗りバンドのビーチボーイズ?」

と誰もが戸惑うアナザー・ワールド全開です。

 

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まあ、どんなバンドにも

”えっ?”

という方向&内容のアルバムはありますけれども

これは極めつけですね。

それまでのビーチボーイズのシングルヒットが好きな人が聴いたら

とても、とても

ガッカリするはずです・・・

 

しかし時は流れて、今はこのアルバムを愛するリスナーも

そこそこ居るようです。

(私もそうですが)

評論家筋からのレイティングも後年になるほど

高めですね。

 

でもしかし

最初に買う一枚ではないですよ、ビーチボーイズの。

 

Little Pad

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被爆の恐怖を丁寧に記録する~新藤兼人監督の ”第五福竜丸”

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新藤監督の1959年作品。

1954年のビキニ環礁における

アメリカ軍の水爆実験で被爆した船員たちを描いた、

セミドキュメンタリーともいえる内容です。

 

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マグロ漁船の第五福竜丸

家族に見守られて静岡県の焼津港から

出航します。

 

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マグロの群れがなかなか見つからず

より良い漁場を求めて航路を辿っているうちに

マーシャル諸島近海のビキニ島沖で被爆

 

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乗組員は日本に帰港するまでに

既に体調に異変を生じ、

死の灰”を浴びたことで皮膚は黒く変色しています。

 

船員たちの身体から放射能が検出されたことにより

メディアの報道合戦が過熱し

マグロの不買運動なども始まります。

 

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多くの船員が回復していくなか

無線長(宇野重吉)の体調は戻りません。

 

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被爆から約半年後、遂には帰らぬ人となります。

茫然と立ち尽くす妻(乙羽信子

葬儀は盛大に執り行われるのですが・・・

 

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新藤監督には

広島の原爆被災をテーマにした

”原爆の子”(1952年)という映画もありますが

どちらの作品も声高にメッセージを叫ぶという撮り方ではなく、

むしろ淡々と「起きたこと」を記録して

観る側の判断に委ねるというスタイルを取っています。

そこに監督の揺るぎない信念を感じますね。

(福竜丸の船員にはアメリカ政府からは ”見舞金”という名目での金銭が支払われましたが、正式な謝罪は行われていません)

 

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被爆を扱った作品は多数ありますが

上掲の2冊も克明なルポルタージュです。

東海村の事故は1999年でしたから

広島、長崎から半世紀以上が経っていることになります。

 

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映画検定 公式テキストブック」(キネマ旬報社

 

この映画はその年のランキングで第八位に選出されていますが、

見渡してみますと、トップ10のうちのほとんどが

社会的な題材を扱っていて

いわゆる恋愛映画は2本くらいしかありません。

 

1959年、終戦から14年が経過していますが

この頃が映画の興行ピーク時期で

観客数や映画館数がもっとも多かったはずです。

ということは、当時の日本で

非常に多くの人たちがこれらの作品を観ていたということですね・・・

ドゥービーとリトルフィートが盛り立てるカーリー・サイモンの好盤 ”ANOTHER PASSENGER”

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カーリー・サイモン

もう70代なんですね・・・

ティーンエージャーの頃から活動していますので

キャリアは軽く半世紀越え。

 

THE SIMON SISTERS    Turn,Turn,Turn

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なんといっても70年代の活躍ぶりが鮮やかでしたね。

スタイルの良い人で

セクシーなジャケットが話題になったりもしました。

 

ソロ第一作からほとんどの曲がオリジナルですので

その意味ではシンガーソングライターのカテゴリーの人なんですが

(ギターもピアノも弾きますし)

ジョニ・ミッチェルローラ・ニーロとは肌合いが違うし、

かといってロックシンガーというイメージでもなく

独自のポジションでしたね。

 

Harf A Chance

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私のフェイバリットは76年の

”アナザー・パッセンジャー”というアルバム。

決して商業的に成功した作品ではないのですが

当時、アナログで愛聴していました。

 

Fairweather Father

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まず良い曲が多いですね。

あと演奏が最高です。

ドゥービー・ブラザースとリトル・フィートのメンバーが

大々的に参加していますが、

聴き惚れちゃいますよ。

普段自分たちのグループでずっと一緒にやっているわけで

プレイが”練れてる”んですね。

 

プロデューサーのテッド・テンプルマンが

これまた実に良い仕事。

仕上げの塩梅が絶妙で。

カーリーはこの前後の作品で、

リチャード・ペリーやアリフ・マーディンといった

著名なプロデューサーと組んでいますけれど

それらと比較しても

一番ハマってると思いますね。

 

In Times When My Head

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カーリーはボーカリストとしては

決してレンジの広い人ではないですけれど

熟練のミュージシャンの演奏、的確なプロデュース&アレンジによって

最大限に彼女の良さが発揮されている

このアルバム、

 

今でもお気に入りの一枚であります。