あまりにも有名なドイツ映画、
映画の歴史、解説本などには必ず登場する1本。
いわゆるドイツ表現主義の代表的作品という位置づけですね。
確かに尋常ではないセット美術の数々
まったく実用的ではあり得ない家具の配置とか
視覚的な部分での印象が強烈です。
その他、役者のコスチュームやメイク
演技などもどれだけ後の映画界に影響を与えたことか。
まさに歴史的、記念碑的な存在。
私が唸ったのは、そういう部分も勿論あるのですが
脚本が完璧なんですよね。
凄く練り上げられている。
ただ見た目とかが強烈というわけではないんですよ。
もとの脚本は筋立て、結末が違っていたようですが
かのフリッツ・ラング(もともと監督を依頼されていた)
が大幅に改稿したとのこと。
社会や政治体制批判といったカラーを抑えたところが
成功しているように思いますね。
夢~幻想のなかでは自身は絶えず正当性があり、
事故や災難から守られている存在です。
そう、夢のなかだけでは・・・
この辺りはデヴィッド・リンチの
”マルホランド・ドライブ”にも通じますかね。
とにもかくにも
最初期の頃から既に
これだけの高みに達していた
作品があったのだ、映画の世界には・・・
ということを改めて思い知らされる1本であります。