名匠、成瀬巳喜男監督の
1953年作品。
お話は、多摩川近郊に暮らす
5人家族の物語。
長男に森雅之。
これがびっくりの配役で
いつもの繊細な役柄ではなく
態度も言葉も超ラフな暴れ者。
(京マチ子を派手に殴りつけたりします)
頑固一徹のお父さんは山本礼三郎。
お母さんには浦辺粂子、出番も多く好演!
全体の出来は正直
(成瀬監督としては)
それほど際立ったものではなく
同時期の ”めし” ”おかあさん” ”山の音”
に軍配があがるでしょう。
ところがこの作品には
非常に目立つ特色がありまして
「後ろ姿」
への執着なんですね。
話の展開~人間ドラマのほうが
かなりドロドロしているので
(京マチ子が望まない妊娠~家族が翻弄される)
最初はそちらに関心がいってしまうのですが、
もう、全員の歩き去っていく姿を
それぞれ撮ってるんですよ。
しかも色々なシーンで何度も。
当然これは意識的にやっているわけですが
ちょっと度を超えているというか
もはや偏執狂といっていいレベル。
成瀬監督って
もともとそういう特質というか癖がありますけど
名作(原作は室生犀星)の名を借りて
この作品、ドラマ部分は
ちょっとイマイチなところがあるんですけど
もう、
この後ろ姿オンパレードで
忘れられない日本映画の1本ですね。
ラストシーン?
もちろん、後ろ姿ですよ!
それは本編を観てのお楽しみにどうぞ。