北野武監督の第三作(1991年)
北野作品の最高峰は次作の ”ソナチネ” (1993年)かと
個人的に思うのですが、
本作も素敵ですね。
いちばん好きな北野作品に挙げる人も多いのでは?
セリフの多用を嫌う北野監督としては
撮り易かったのではないでしょうか。
冒頭のシーンですが、
このカットだけで期待が盛り上がります。
素晴らしい、しかしなかなか思いつかないアングルです。
もう構図が決まりまくりです。
そいうい場面がある、のではなく
厳選されたシークエンスのてんこ盛り。
海岸のシーンが多いのですが、神奈川の各地や千葉など
多くの場所でロケが行われていますね。
真木を失った大島を捉えるカメラの素晴らしさ。
この対比は活字や音楽では表現出来ません。
映画の醍醐味ですね。
いつもながら、脇の登場人物(サーフショップ店長やサッカー少年など)の
出し入れも絶妙です。
ヒロインの大島弘子は
大変に魅力がありますけれど
映画出演は本作のみ。
ちょっと議論の的になったのが
ラストの ”メモリアルアルバム”ショット。
この場面があると、それまでの質感が一気に変化してしまうのは確か。
普通のドラマ的なテイストが入り込んできてしまいますよね。
それまでの描写で
真木が海で亡くなったのは明らかですし、
終幕としたほうが、引き締まった仕上がりになったような気もします。
もっとも久石譲のセンチメンタルなテーマには
この終わり方も合っているのかも、
ですね。
あの夏、いちばん静かな海 エンディング