全部で10作以上作られた
大映の”黒”シリーズの最終作。
監督は増村保造です。
新幹線の用地取得疑惑にまつわる人間模様がテーマなのですが
(原作/梶山季之)
主要な登場人物はみな腹に一物を抱えています。
騙し、はったり、寝返りの連続で
誰もが信用できず疑心暗鬼に囚われていくうちに
皆、自滅していくという構成。
マドンナ役は藤由紀子、のちの田宮二郎夫人です。
準主役に加東大介、無茶苦茶に演技が達者で
さすがの田宮も霞んでしまうほどの存在感。
声、セリフ回しの貫禄が違います。
この年は新幹線の開業年なのですが、
映画の冒頭は走行シーン。
ラストシーンも同じく。
乗車中の場面もあるのですが
この場面を観ていて
想い出すのが黒澤監督の ”天国と地獄”
こちらは1963年の製作なので
まだ新幹線が走っておらず、
映画で使われた車両は
在来の特急列車ですね。
さて、黒澤作品では大々的に国鉄の協力があったのですが
本作ではタイトルに超特急と付いているにもかかわらず
タイアップ的なことはなかったようです。
まあ、話の中身が中身ですからねえ
黒ではなくて、白い超特急
なら良かったのかもしれませんね・・・