バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

北原三枝&新藤兼人の珍しい組み合わせ ”流離の岸”

 

うーん、私

タイトルさえ知りませんでした。

読み方も難しいですよね、流離~りゅうり

と読むそうですが・・・

 

1956年の日活作品なんですが

全体のタッチは新藤監督が既に立ち上げていた

近代映画協会寄りかなと。

エンタメ色は極めて薄いですから。

 

北原三枝は同じ年に

あの ”狂った果実” で石原裕次郎と共演していますので

より地味な印象を受けるのかもしれませんね。

(封切りも僅か一か月違い)

 

 

北原は高校生なんですが

指に怪我をしてしまい病院へ。

医師の三國連太郎と恋愛関係に。

 

 

二人は一緒に暮らし始めるのですが

なんと三國には妻と子供が居たんですね。

当然、北原は怒り心頭。

大騒動に発展していきます。

 

 

北原の母に乙羽信子

乙羽と北原のあいだには過去に事情があって

(乙羽は小さい北原を残して他家へ後添いにいった経験あり)

その関係性は複雑です。

 

(幼少時の北原役に天才子役、二木てるみ

 

三國は

「俺が愛してるのは君だけだ。妻とは離婚する」

と誓うのですが

「それでは奥さんや子供はどうなるの?私たち親子みたいな不幸な人間を増やしたくない」

北原は悩みに悩みます。

 

 

北原は乙羽のアドバイスに従い

三國の妻に会うのですが

スヤスヤと寝入っている幼子を見て

更に心が乱れます。

 

気持ちの整理がつかなくなった北原は

一人、外に飛び出し海岸へ。

あとには泣き崩れる三國の妻と

ただ茫然と立ち尽くす三國、

起き出して怯えて泣き叫ぶ子供が

残されたのでした・・・

 

 

前半にはコミカルな場面もあるのですが

中盤以降はかなりシリアスな展開に。

ハッピーエンドでもありませんから、

観終わった後の爽快感といったものは望めませんね。

新藤監督らしい生真面目さが発揮された一本。

 

ロケは山口県広島県で行われていますが

主役の北原三枝は完全に日本人離れした

顔立ち&プロポーション

目立つことこの上なし。

(映画のなかでも大学生の男たちが「おっ、誰だい?今の娘」と思わず振り向く場面があります)

 

(控え目な入浴シーンあり。鍛え上げたスイマーのよう)