”SHORT EYES” という1977年製作のアメリカ映画。
公開当時、商業的にはコケてしまったようで
あまり知られている作品ではありませんね。
いわゆる刑務所モノなんですが、
オープニングとエンディングで
建物の外観が映る以外、
全てのシーンが刑務所の中なんですね。
回想シーンとかも無い。
屋外で運動する場面なども無く
徹頭徹尾、「ムショの中」だけで
話が展開していきます。
ですんで、閉塞感が半端なく。
恋人が面会に来るといったこともないので
登場人物は全員(むさくるしい)男オンリーです。
もともとは原作があって
まずは舞台化されて注目が集まったようですが
確かに映画よりはそちらのほうが向いているように思いますね。
場面の転換が不要ですから。
"SHORT EYES" by Miguel Piñero (1974) *作者は映画にも出演
しかしですね、この映画には見どころというか
聴きどころがあるんですね。
囚人役の一人を
ソウルミュージックの巨人、カーティス・メイフィールド本人が
演じているのです。
サントラ全編も担当しているのですが
これが実に GOOD!なんですよ。
当時は猫も杓子もディスコの時代だったんですが
それとは一線を画す
カーティス流儀のファンク魂が炸裂。
カーティスのソロキャリア中でも出色の仕上がり。
SHORT EYES Curtis Mayfield
残念ながら、アルバム(LP)のほうもヒットしなかったんですが
カーティスの手がけた他の映画関係の大ヒット作
”スーパーフライ” や ”クローディン” に
負けない充実度です。
映画も、エンタメ的な要素は薄いですけど
ドキュメンタリータッチのリアルな映像は
今観ても古臭くないですよ。
映像&音楽の再評価を期待したいですね。
Scene from "SHORT EYES"