バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

「司令官を捕まえろ!」ギリシャ・英国連合チーム VS ナチスドイツ "I'LL MET BY MOONLIGHT"

 

いきなりですが

日本語のタイトルが酷い。

 

”将軍月光に消ゆ”

 

サイレント時代の映画じゃないんだからさ。

(1957年公開/監督 マイケル・パウエルエメリック・プレスバーガー

 

 

これは史実なんですね。

1944年のクレタ島が舞台。

島を占領していたドイツ軍司令官の拉致誘拐を

イギリスの特殊作戦部隊とギリシャレジスタンスが

ガッチリ手を組んで準備、実行するというお話。

 

 

で、拉致は首尾よく成功。

しかし反対側の海岸にやって来る手筈の

英国駆逐艦に司令官を乗船させるため、

島の山間部を横断しなくてはなりません。

 

 

当然、口論等はあるのですが

この手の映画に付き物の

派手な交戦シーンとかバイオレンス~暴力・拷問の類いは

ほぼほぼ無し。

 

英国/ギリシャチームは基本的に

ジェントルマンで

司令官に一定の敬意を払っています。

 

(司令官だけロバを与えられます。しかしその後落馬)

 

 

司令官の身の回りの世話をする

島の少年との会話ですが

 

「君はなかなか感心だな。家はどのあたりにあるんだい?」

「ドイツ軍に焼かれました」

 

「そ、そうか。ご家族はどうしてる?」

「ドイツ兵に殺されました」

 

当時のドイツ軍は島民に残虐な行為を行っていたようですが

あからさまな怒りを見せることなく

自分の任務を忠実にこなしていきます。

(ドイツ軍が追ってきた際に、この少年の機転で窮地を免れる)

 

 

海岸に到達した一行。

彼等のあいだには友情めいた感情が芽生えています。

(その後司令官はカナダやイギリスの捕虜収容所に送られて、1947年に釈放)

 

原作は作戦に参加した英国チームの大尉自らが執筆しているのですが

両者は1972年に

テレビ番組で再会を果たしています。

 

 

映画で司令官の役を演じているのは

イギリスの名優マリウス・ゴーリングですが

まさにはまり役。

 

一般的な戦争映画としては

とても地味で

スリルやサスペンスに欠けるきらいはありますが、

ある意味、一服の清涼剤のような佳作ですね。

 

 

"I'll Met By Moonlight" (1957)   Trailer

www.youtube.com