バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

永久に ”サイコ” と比較される運命か・・・マイケル・パウエルの ”血を吸うカメラ”

 

これは今や

この手のサイコスリラー系統としては

定番中の定番。

 

その際に必ず

引き合いに出されるのが

ヒッチコックの有名作 ”サイコ”

 

確かにテーマがまず共通~ヤバい性格のシリアルキラー男性による殺人事件

どちらの男も親との関係性に問題があった

公開年がともに1960年

監督が両者イギリス人で年齢的にも近い(亡くなった齢も)

”サイコ” も ”血を吸うカメラ” もどちらかというとスピンオフ的な内容で、それぞれの監督の代表作というわけではない

 

大きな違いは

”サイコ” は被害者目線

”血を吸うカメラ” は加害者目線

というポイントでしょうか。

 

 

カール・ベームは映画スタジオのカメラマン

寡黙で人付き合いが良いとは言えませんが

真面目な仕事ぶりです。

 

 

ガールフレンド(アンナ・マッセイ)も出来たのですが

彼には大きな秘密があったのです。

 

 

カールは三脚をナイフに改造して

女性を殺し、その一部始終をカメラに収めて

繰り返し自室で上映することに

興奮を覚える

異常心理者だったのです。

 

(カメラ目線による処理が効果的に使われています)

 

しかしガールフレンドやその母親が

どこか言動のおかしいカールを怪しみ始め、

警察もカールの身辺捜査に乗り出します。

 

遂に逃げ切れなくなった彼の取った行動とは・・・

 

”サイコ” と違って

流血シーンや死体などの直接描写は無く、

代わりに衣装やスタジオセットの小道具などで

赤色が強調されています。

(邦題もその辺りから付けられたのでしょう)

 

 

自分の持ち物~カメラや蔵書などに

触られることを極端に嫌がるカットが

繰り返し出てきますが

カールの殻に閉じこもる心理状態をよく表していますね。

 

 

”サイコ” と異なり

カールの精神が崩壊してしまったのは

父親が原因だったことが

保存されていたフィルムで明らかにされます。

(学者だった父親は幼少のカールに様々な虐待をおこなって、それを撮影していた)

 

このモノクロ映像で

カールの父親を演じているのは監督自身で

幼いカール役は監督の子供だそうです・・・

 

 

さて

”サイコ” との比較ですが

私は本作のほうがまとまりが良いように思いますね。

(”サイコ”では、ラスト近くの「椅子に座っているお母さん」が出てきた時にコケてしまったので)

 

時間がある時に

2作続けて観てみるのも

一興かも。

(くどいようですが、両監督のベストではないように思いますけれど)

 

"Peeping Tom" (1960)    Trailer

www.youtube.com