これは今や
この手のサイコスリラー系統としては
定番中の定番。
その際に必ず
引き合いに出されるのが
ヒッチコックの有名作 ”サイコ”
確かにテーマがまず共通~ヤバい性格のシリアルキラー男性による殺人事件
どちらの男も親との関係性に問題があった
公開年がともに1960年
監督が両者イギリス人で年齢的にも近い(亡くなった齢も)
”サイコ” も ”血を吸うカメラ” もどちらかというとスピンオフ的な内容で、それぞれの監督の代表作というわけではない
大きな違いは
”サイコ” は被害者目線
”血を吸うカメラ” は加害者目線
というポイントでしょうか。
カール・ベームは映画スタジオのカメラマン
寡黙で人付き合いが良いとは言えませんが
真面目な仕事ぶりです。
ガールフレンド(アンナ・マッセイ)も出来たのですが
彼には大きな秘密があったのです。
カールは三脚をナイフに改造して
女性を殺し、その一部始終をカメラに収めて
繰り返し自室で上映することに
興奮を覚える
異常心理者だったのです。
(カメラ目線による処理が効果的に使われています)
しかしガールフレンドやその母親が
どこか言動のおかしいカールを怪しみ始め、
警察もカールの身辺捜査に乗り出します。
遂に逃げ切れなくなった彼の取った行動とは・・・
”サイコ” と違って
流血シーンや死体などの直接描写は無く、
代わりに衣装やスタジオセットの小道具などで
赤色が強調されています。
(邦題もその辺りから付けられたのでしょう)
自分の持ち物~カメラや蔵書などに
触られることを極端に嫌がるカットが
繰り返し出てきますが
カールの殻に閉じこもる心理状態をよく表していますね。
”サイコ” と異なり
カールの精神が崩壊してしまったのは
父親が原因だったことが
保存されていたフィルムで明らかにされます。
(学者だった父親は幼少のカールに様々な虐待をおこなって、それを撮影していた)
このモノクロ映像で
カールの父親を演じているのは監督自身で
幼いカール役は監督の子供だそうです・・・
さて
”サイコ” との比較ですが
私は本作のほうがまとまりが良いように思いますね。
(”サイコ”では、ラスト近くの「椅子に座っているお母さん」が出てきた時にコケてしまったので)
時間がある時に
2作続けて観てみるのも
一興かも。
(くどいようですが、両監督のベストではないように思いますけれど)
"Peeping Tom" (1960) Trailer