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タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

ヒッジョーにサビシ〜ッ!・・・名喜劇人、財津一郎逝く

 

財津一郎の訃報に接しました。

この人はまさに唯一無二の個性を持ったコメディアンで

フォロワーが存在しませんでしたね。

 

膨大な数の喜劇人が登場する

澤田隆治著の「決定版 私説コメディアン史」の表紙は

山藤章二による財津一郎のイラストです。

それだけ異彩を放った存在だったのでしょうね。

 

 

熊本生まれで1953年に上京。

様々な劇団で舞台に立った後、吉本興業入り。

全国的にブレイクしたのが

テレビ番組「てなもんや三度笠」の

蛇口一角(へびぐち いっかく)役。

 

 

後々まで有名になる

「ヒッジョーにキビシ〜ッ!」

「〜してチョーダィ!」

のフレーズも誕生しています。

 

この人は美声の持ち主で歌唱力抜群。

タップダンスもこなせるなど

ショーマンとしての技量も秀でていました。

 

 

一般的によく知られているのは

数々のコマーシャルでしょうか。

 

 

映画やテレビドラマでも

独特の持ち味を生かして

様々な役柄を演じていましたね。

 

「新・男はつらいよ」(1970年)

 

男はつらいよ」には2作ゲスト出演していますが

渥美清との共演作では

今井正監督の「あゝ声なき友」(1971年)が

出色の出来。

いつものバタ臭いキャラクターではなく

主人公の渥美を何気に優しく励ます

食堂の大将役をサラリと演じています。

 

 

不気味だったのが

市川森一脚本の異色テレビドラマ

淋しいのはお前だけじゃない」(1982年)

 

 

表には出てこない裏社会のボスを

思い切りデフォルメした怪演でした。

(借金の取り立て役の尾藤イサオがこれまた強烈)

 

 

脇の出演ではなく

堂々の主役を張ったのが

1985年の映画「祝辞」(監督/栗山富夫

部下の結婚式スピーチを頼まれて

四苦八苦する弱気な課長をユーモラスに演じています。

(共演に植木等前田武彦工藤夕貴柄本明と興味深い顔ぶれ)

 

個人的に印象に残っているのが

東芝日曜劇場の「五月の空」という単発ドラマ(1992年)

同じ時代を過ごした盟友

伊東四郎との滋味溢れる掛け合いが見ものです。

 

 

今頃は

先輩芸人さん達の

派手な出迎えを受けているのでしょうね。

「やっと来たねえ~ 休み無しでスケジュール埋まってるよ。こっちでも頑張ってチョーダイッ!」って。

 

謹んでご冥福をお祈りします。

 

バザールでござーる

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参考図書

「決定版 私説コメディアン史」澤田隆治著・ちくま文庫

「日本の喜劇人」小林信彦著・新潮文庫

「おかしな男 渥美清」同