バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

チャップリン&セッシュウ

 

2005年に発表された

”五月十五日のチャップリン”(川田武講談社文庫)

という歴史ミステリー小説。

 

かのチャップリンヒトラー

若き日にオーストリアのウィーンで

出逢っていたという場面からスタート。

 

ヒトラーは実際に売れない画家として不遇の生活をウィーンで送っていた)

「劇画 ヒットラー水木しげるちくま文庫

 

その後チャップリンは世界の喜劇役者に

ヒトラーは一大独裁者への道を歩むことになるわけですが、

ヒトラーの悪魔的魅力に心を奪われてしまったチャップリン

時に心神喪失の精神状態になってしまいます。

(1932年の五・一五事件にもチャップリンが深く関わっていたという設定)

 

チャップリンヒトラーの狂気を諫めるために

一本の映画を制作することを決意します。

自らが(架空の人物になっているが明らかに)ヒトラーとなった

その名も ”独裁者” (1940年)

 

”独裁者” のエンディング

www.youtube.com

 

有名なラストの演説シーンですが

実はカットされた別バージョンが存在していて

それは(ヒトラーに扮した)チャップリン

スクリーンからヒトラーに直接語りかける内容だった・・・

というお話。

 

なかなか面白いプロットですよね。

ただ途中、ドタバタ活劇になったりチベット密教云々といった

ちょっと?の部分があるのですが・・・

 

この手の史実をベースにして

そこに捻りを加えたフィクションは、

ある程度歴史(世界/日本史)の流れを把握していて

かつ、本作品の場合はチャップリンの映画を相当数観ていないと

登場する固有名詞や会話の妙が分からない

という点はあるかもですね。

 

「セッシュウ!」中川織江著・講談社

 

さてチャップリンと並ぶ世界的スターだったのが

早川雪州。

 

"Daughter Of The Dragon" (1931)

 

全盛期にはハリウッドに豪邸を構え

 

通称、グレンギャリ城

 

 

部屋数が32もあったというその邸宅に

チャップリンは気軽に立ち寄っていたとのこと。

 

雪州もまた

後年、ナチスの迫害~

制作した映画の検閲&公開禁止により

自身のプロダクションが倒産してしまうという

憂き目に遭います。

 

チャップリンと雪州のスクリーン上での共演は

残念ながら存在しませんが

一本くらいは

あっても良かったかもですね。

 

芸風があまりに違うので難しいとは思いますが

雪州を思いきり喜劇的な役柄にしてみたらどうでしょう?

チャップリンのキャリアの後半に

”ニューヨークの王様”(1957年)

という作品がありますが

それをもじって

”A KING IN TOKYO~東京の王様”

 

戦後、久しぶりに日本を訪れたチャップリン

雪州に再会。

旧交を温めたのですが、どうも雪州の行動に不審な点が。

なんと雪州は怪しげな組織の親玉として

世界征服を狙っていたのです・・・

 

なんてのはどうですかね?

勿論、喜劇仕立てでね。

 

でもセッシュウさんは

キャスティング、断りそうな気もしますね・・・

「ミフネ君にでもやってもらったらどうだい?」

とか言われそう。

 

”戦場に架ける橋”(1958年) 予告編

www.youtube.com