レゲエミュージックが
ロックミュージシャンに与えた影響は
とてつもなく大きなものだったと思いますが
なかでも故ウォルター・ベッカー(1950ー2017)は
身体の細胞が置き換わったのではないかというくらい
紡ぎ出す音の一つ一つが
”レゲエ化” してましたね。
"BOB IS NOT YOUR UNCLE ANYMORE" WALTER BECKER
2008年発表のセカンドソロ、”サーカス・マネー” は
アルバム全体がレゲエのカラーで埋め尽くされていて
ここまで徹底していると
もう孤高の境地といったところです。
面白いのは
しかし聴いていて
イメージするのは
ジャマイカの明るい陽光ではなく、
極めて北米的&ミニマルな心象風景です。
(デイヴィッド・リンチの映像世界に通じるものがありますね。二人が組んだ映画を観てみたかった)
"HOME AT LAST" STEELY DAN ON BERNARD PURDIE
こうしたベッカーの個性は
スティーリー・ダンの楽曲にも顕著に現れています。
ベッカーがメインで書いたと思われる作品は
すぐ分かりますね。
ドナルド・フェイゲンのソロ作には
こういった曲調のナンバーはほとんどありませんので
二人の個性の違いが興味深いところ。
"GHOST OF HIPNESS PAST" WALTER BECKER
シュールかつストレンジなサウンドも
ベッカーの独壇場で
とかくこき下ろされることの多い?
ボーカルも、こういう曲にはよくフィットしてますよね。
ベッカーはプロデューサーとしても素晴らしく、
高品質のアルバムを制作しています。
(チャイナ・クライシス、フラ・リッポ・リッピ)
なかでも白眉は
”フライング・カウボーイ” (1989年)
"FLYING COWBOYS" RICKIE LEE JONES
気持ちが明るくなるわけではないのですが
癖になるんですよね、ベッカー節は。
煙草やアルコールに似ているのかな・・・
"THIS MOODY BASTARD" WALTER BECKER