ヒッチコックのイギリス時代
1929年の作品。
ちょうどサイレントからトーキーへの切り替え時期で
制作途中で撮り直したパートもあったようです。
ですので画面の繋がりがスムーズではなく
セリフも不自然な部分がありますね。
ヒロインのアニー・オンドラの声も吹き替え。
(英語の発音に難があったようです)
この人はヨーロッパでは大変な人気があった人で
キュート&モダンな雰囲気が素敵ですね。
(表情や仕草がナチュラルで芝居がかっていない)
で、着替え~下着姿のシーンが長いんですね。
大体この手のカットは短めの場合が多いんですが
かなりしつこく脱いだり着せたりしています。
事件のキーワードになる小物を繰り返し映す
主人公の恐怖を煽るワードを会話のなかに頻出させる
といったヒッチコック風味が既に登場していますが
(お約束の本人のカメオ出演場面もあり)
徹底しているのが
影の活かし方。
全篇にわたって
これでもかと強調しています。
もう人物そのものでなく
影が主役といって良いくらいですね。
ストーリーは非常にシンプル。
ヒッチの作品によく登場してくる
政府の調査機関や東西のスパイ云々といった背景が無く、
あくまで個人(男女)間のトラブルが
事件の発端になっているので
映像だけ追っていても充分に楽しめます。
完成度や人気の点では
ヒッチの他の有名作に及ばないのでしょうけれど
個人的には好みの一本であります。
"BLACKMAIL" Trailer