バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

児童虐待に踏み込んだ100年前の意欲作 ”雀~SPARROWS”

 

人形が泥水のなかにぶくぶく・・・

オープニングからし

通常のエンタメ映画とは異なる緊張感が

漲っています。

 

 

アメリカ南部の辺鄙な農園で

子供たちが監禁され、強制労働をさせられています。

 

 

農場主(グスタフ・フォン・セイファーティッツ/シャーロット・ミノウ)は

子供たちに満足な食事も与えず

その結果、子供が衰弱死しても気にかけない

極めて冷酷無比な夫婦。

 

 

救いを求めるメッセージを書いた凧を

飛ばそうとしたのですが失敗。

 

 

リーダー格の年長の少女(メアリー・ピックフォード)は

「このままだと皆、死んでしまう」

と脱出を決意。

捕まれば恐ろしい折檻を受けた挙句

殺されてしまうことは必至です。

 

 

農園の周囲は底なし沼で

落ちれば浮かび上がることは不可能なうえ、

人喰いワニが放たれています。

 

 

全員の協力で危機を乗り越え

遂に警察に保護されますが

 

 

子供たちには戻る家庭がありません。

警察のベンチでただ座り込むのみ・・・

 

(最後には子供たちの引き取り手が現れてハッピーエンドとなります。「君には随分子供が居るねえ」と言われ、ニッコリ笑うピックフォード)

 

映画の公開は1926年なのですが

農場の劣悪な環境や

子供たちへの暴力が

かなりリアルに描かれています。

 

 

宗教的なカラーも強く

ピックフォードに抱かれて衰弱死した赤子を

エスが迎えに来る幻想的なシーンも。

(タイトルの ”雀” も、主は空を飛ぶ一羽のすずめさえも救いたもうという聖書の文言から採られています)

 

 

雰囲気がヘビー過ぎないように

ピックフォード得意の

お茶目芝居を適宜入れ込んでありますね。

(当時既にピックフォードは34歳ですが、12歳くらいの役柄)

 

昔のサイレント映画って

ただドタバタ動き回ってるコメディなんでしょ

と敬遠気味の方に

是非お勧めしたい力作であります。

 

"Sparrows" (1926)   Trailer

www.youtube.com