バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

手塚治虫が70歳、80歳を迎えていたら・・・

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私には同時代の手塚治虫体験が

ほぼありません。

 

1989年に亡くなられていますので、

戦後間もない頃の作品群は別としても

1970年代の人気作品

ブラック・ジャック」や

大作「アドルフに告ぐ」、

未完に終わった「グリンゴ

などには、いくらでも”夢中になる”

ことができたはずなのですが。

 

おそらく当時の自分にとっては

盛りを過ぎたというか、

手塚作品に対して、古臭い印象があったのかもしれません。

じっくりと作品に目を通すようになったのは

胃がん(享年60歳)で亡くなられた後のことです。

 

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画力がある

描くスピードも速い

ストーリー構成が上手い

ネタが尽きることがない

肉体も頑健

若い世代への対抗心も強烈

優れたアシスタント、裏方スタッフの存在

 

という要素が重なって、圧倒的なボリュームの作品を

作り続けてきた結果、

あまりのハードワークに身体がついに

悲鳴をあげてしまったわけですが。

 

壮絶なまでの締め切りに追われる日々を追った

テレビのドキュメンタリーで、

”アイデアはいくらでも湧いてくるんだ。

でも体力が・・・”

というニュアンスの発言があります。

 

www.youtube.com

 

もしあと10年、20年の時間があったなら

どんな作品を残されたでしょうね。

多分、頭の中に幾つもの構想があったはずです。

 

手塚作品の根底にある

生きることへの絶対的肯定~人生賛歌の集大成

になっていたでしょうか。

 

もしかしたら、抽象的なシュール路線だったかも

しれません。

 

あるいは極端にシンプルな、それこそ

スケッチのようなものだったりして。

 

または全精力をかけて、アニメーションに再度

取り組んだのかもしれません。

 

でも、ご本人はきっとこう言うでしょうね。

”僕は全部、やりたいんですよ”

とニッコリ微笑んで。

 

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告知せず」山内喜美子(文春文庫)

奥さんの悦子さんからみた手塚の闘病の日々が記されています。