女性ボーカルを聴く時って
まあ、その歌声に包まれたい
リラックスしてムードに酔いしれたい
という面があると思います。
このアルバムにはそういう要素は
全くありません。
逆にあまりに研ぎ澄まされた音世界が
展開されるので、およそ寛げません。
勿論、BGMになぞ
なりようの無い音楽です。
ロック?
ポップス?
ジャズ?
否、
どのジャンルにも属さない
ローラ・ニーロという音楽としか
形容出来ない四十数分間です。
GIBSOM STREET
このアルバムをレコーディングしていた最中に
かのマイルス・デイビスがスタジオを訪れて
彼女に伝えた言葉
I CAN'T PLAY ON THIS.
YOU DID IT ALREADY.
辛口のコメントが多いマイルスとしては
最大限の賛辞でしょう。
それだけ唯一無二の完成度を誇る11曲が
収録されています。
MERCY ON BROADWAY
ローラは他のアルバムも
勿論聴きごたえがありますけれど
やはり1969年発表のこの作品は特別。
気楽には聴けませんけれど
年に何回か
ローラが創り上げた音宇宙に
思いきり身を任せたくなります。