バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

シンガーソングライターの作品として極北、ジョニ・ミッチェルの ”ミンガス”

f:id:bkkmind:20210201235505j:plain

 

のっけからなんですが、

このアルバムはあかんですね。

 

いや、あかんというのは

勿論誉め言葉なんですけど

ちょっとね、普通では聴けないです。

一曲も無いと思いますよ、聴き終えて

なんとなくでも口ずさめるナンバーが。

 

The Dry Cleaner From Des Moines

www.youtube.com

 

当初はジャズ界の巨匠

チャーリー・ミンガスとの共作として発表される予定でしたが

ミンガスが亡くなったため、

ジャコ・パストリアスウェイン・ショーター

ハービー・ハンコック、ドン・アライアス

などのメンバーと録音して発表されました。

(1979年)

 

これはねえ、聴き手を遠ざけるアルバムなんですよね。

もともとジョニの作風にはそういうところがあるんですけど

メンバーの演奏技術が非常に高度で

ジョニの歌詞も言葉数が膨大&次々に

(辛辣な表現や抽象的な例えが)繰り出されてくるので

英語圏のリスナーでもヘビーだと思うんですよ。

 

こちらは同じ曲のライブバージョン、

サックスがマイケル・ブレッカーに交代していますが

もう、分かる人にだけ分かりゃあいいのさ

という歌唱&演奏。

 

www.youtube.com

 

歌詞も生半可じゃないです。

通常の ”僕は君が好きで” とか ”あなたの瞳を見つめて”

といった世界とはかけ離れたストーリー展開。

 

Of the darkness in men's minds

What can you say

That wasn't marked by history

Or the TV news today

He gets away with murder

 

人の心の奥底には

なんというか悪の華があるでしょう?

歴史にも残らないし

今日のテレビのニュースにもならなかった

そう、彼は殺人の罪を免れたというわけ

The blizzards come and go

The stab and glare and buckshot

Of the heavy, heavy snow

It comes and goes

It comes and goes

 

吹雪はやって来ては去っていく

豪雪が人の心を刺して、突いて、撃ち落とす

それはね、これからもずっと繰り返されることなのよ

・・・

(The Wolves That Lives In Lindsey/JONI MITCHELL)

 

www.youtube.com

 

演奏もまさに

荒野に雪が降りつけるような響きがありますね。

行くところまで行った、としか形容の出来ない

孤高の到達点です。

(この後のジョニはライブアルバムを挟んで、”より普通の”サウンドのアルバムを発表するようになります)

 

発売当時、LPレコードを買って聴いて

凄いと思いながら

親しみを感じて何度も聴く、ということはありませんでした。

 

40年以上の年月を経た今はどうでしょう。

 

そうですね、前よりは少し

分かるような気もしますけれど・・・

とにもかくにも

このような音楽を創った人が居たのだという。

 

広くはお薦めしません。

しかし狭い範囲で推薦します。

(なんのことやら)

 

f:id:bkkmind:20210202004515j:plain