”三人の妻への手紙”~A LETTER TO THREE WIVES
ジョセフ・L・マンキーウィッツ監督の1949年作品。
アメリカ東部、郊外の町で暮らす三人の主婦。
ある土曜日に学校の課外活動ボランティアをするために
集まります。
そこへ一通の手紙が。
あなた達の誰かの旦那さんと私は駆け落ちをする予定なの
という穏やかではない内容。
差出人はアディという名前です。
”まさか、それは私の夫では?”
と三人の妻はそれぞれ不安な気持ちで
過去を回想します。
自分の容姿や出自にコンプレックスを抱くジーン・クレイン
出世の意欲が無い夫に苛立つ自立志向のアン・サザーン
財産持ちの夫を操ろうとするリンダ・ダーネル
どの家庭にも問題ごとがあり、言い争いもしばしばの日々を送っています。
さて、アディという女性と駆け落ちをするのは一体誰の夫でしょうか・・・
(アディは大変に魅力的な女性として設定されていますが、画面には登場しません)
ビリー・ワイルダーが撮ったのならもう少しコメディ色を強く、
ヒッチコックだったらサスペンスの色合いを強めたのでしょうが
どちらの要素も程ほどで、
大笑いをしたりドキドキしたりという場面は少なめです。
この作品はその年のアカデミー監督賞を受賞していますけれど
ちょっと大盤振る舞いかなあ、なんて気もしないでもないですね・・・
でも最後のカットが素敵なんですよ!
それはどうぞ、本編を見てのお楽しみということで。
予告編
似たようなタイトルですが
”妻への三通の告白”
こちらは惜しくも昨年亡くなった作家、小林泰三の短編です。
今や初老となった一人の男が
愛し続けた妻にその想いを綴った手紙が紹介されます。
その三通の手紙は時系列を逆にして
最近のものから語られていくのですが・・・
「肉食屋敷/角川文庫に収録」
泰三ワールド全開、映像化が非常に難しそうな内容ですが
もし練りに練って作り込めば
とてつもない映画になるかもしれません。
日本でよりもハリウッドで撮ったらどうかな、
”シックス・センス”(M・ナイト・シャマラン監督 ブルース・ウィリス主演)
のような話題作になると思うけどもなあ。
ま、とにかく映像と活字の世界を
ご堪能くださいまし。