バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

今なお新しい66年前の日本映画 川島雄三の傑作コメディ ”愛のお荷物”

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うーん、これはいいですねえ。

実に良い。

日本映画のマイベスト100ですよ。

全編(111分と結構長い)通して

ニコニコでした。

 

長編の喜劇映画で、途中でダレないって

なかなか無いですよ。

川島監督の才気爆発ですね。

 

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時の厚生大臣山村聰

 

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冒頭、国会質疑のシーンが続くのですが

野党議員に扮するのが菅井きん

まず、つかみからして笑えます。

 

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山村の息子が三橋達也

実は山村の秘書の北原三枝と付き合っていて

北原は妊娠しています。

 

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山村の妻に戦前の宝塚スターの轟夕起子

50歳近い設定なのですが、なんと同じくご懐妊。

 

若い頃と違って、

 

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すっかり貫禄がついていますが、お母さん役を好演しています。

 

山村と轟には三橋のほかに

二人の娘(既婚&未婚)がいるのですが

なんとこの二人も妊娠。

 

家の使用人(殿山泰司)とお手伝いさん(小田切みき)も

それに続きます。

 

とどめは山村が若い頃に付き合いのあった女性(山田五十鈴)に

実は自分の子供が居たという事実が

28年ぶりに発覚!

 

山村はじめ一同の右往左往~ドタバタが加速していきます。

 

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(世界の喜劇人/小林信彦新潮文庫

 

日本映画、なかでも喜劇の生き字引である

作家の小林信彦

普段の辛口批評ではなく、本作品を激賞しています。

 

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脇の出演で登場場面は少ないのですが

フランキー堺のドラム演奏も楽しめます。

無茶苦茶上手いですねえ。

 

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そして北原三枝のスタイルの良さ。

月並みな表現ですが完全に

”日本人離れ”しています。

他の共演者とシルエットが全く違いますね。

 

山村はじめとした家族全員、ある意味俗物なんですね。

完全な善人というわけではない。

しかし悪人でもないのです。

自分勝手なところもあるのですが、相手を許す思いやりも持ち合わせている。

そしてなにより気性が全員さっぱり。

 

”もう起きたことはしょーがないよ。これからのことを考えようよ”

”そーねえ、じゃあそうしましょう”

という爽やかさが

観ている側の気持ちを明るくさせます。

 

当時の日本(人口がまだ8900万人程度)と

今では社会情勢が圧倒的に異なるわけですから

時代を感じる場面もありますけど

役者のセリフや動きのテンポが非常に早く

”古くて観てられない” なんてことにはなりません。

 

三橋が一人三役をやったり

登場人物の会話がシンクロしたり

ズテーンとひっくり返ったり

2時間弱、最高に楽しめます。

 

天才、川島雄三にアプローズ!

 

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