主婦がなにかの事情をきっかけに
家庭を捨てる、飛び出すという
構成のストーリーはかなりあると思いますが
スティーヴン・キングの ”ローズ・マダー” は
追う側(夫)のしつこさではピカイチのくどさ。
何しろ旦那の職業は警察官なので、追跡のプロですから。
(ちなみにこの夫はとんでもないサディストで、徹底的なバイオレンスを妻に与え続けています)
映画ではリドリー・スコット監督の
”テルマ&ルイーズ”(1991年)がよく知られていますね。
Thelma & Louise 予告編
ちょっと作りが粗いところがあるようにも感じますが
ラストシーンは印象に残りますよね。
終わり方としてはどうなんだろう、多分
評価は人によって様々でしょうね。
日本の小説でも多くの作品がありますけれど
エスケープ主婦を書かせたら
日本一の桐野夏生。
舞台が日本ですと、旦那の存在感が薄いんですよね。
もう関係性が切れてしまっていて
妻の行動にも無関心あるいは
やっかいなことをしてくれたという態度に終始。
子供が居る設定でも、お母さんを守ろうとする場面が無い。
あくまで妻=母は孤独な存在です。
小池真理子のこの小説では
夫(映画監督)のDVに耐えかねた妻の脱出劇。
知り合いやかつて訪れた場所をひとまず目指すのではなく、
まったく見知らぬ土地での新生活
&その場所でやはり事情があって追われている男
との出逢いが描かれています。
篠田節子の ”逃避行” には相棒が。
でもそれは人ではなくて犬です。
(長年飼ってきたレトリーバーが隣の住人を噛んでしまったことにより、夫は安楽死させることを主張。それをきっかけに「単なる家事請負労働人」に不満を覚えていた主人公は家を飛び出します)
旅を続けるうちに人間だけでなく
犬も束縛から解き放たれ、行動そのものが変わっていく記述が新鮮です。
(終わり、はやがて両者に来るのですけれども)
まだ映画化はされてないのかな?
きっと話題作に仕上がるような気もしますが・・・