バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

目覚めると男は、虫ではなく地球になっていた~”変身”小説の数々

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自分の身体に変化が起きる~

およそ好ましくない場合がほとんどですが、

そういった設定の小説や映画は多いですよね。

 

かのカフカの ”変身”

映画では、次から次へと製作されるゾンビもの

などがすぐ思い浮かぶところ。

 

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リチャード・マシスンの ”縮みゆく男” は

その名の通り、身長がどんどん低くなっていき

遂には細胞レベルまでミクロ化していくというお話。

映画化もされています。

 

縦、ではなくて横方向に縮小していくのが

スティーヴン・キングの ”痩せゆく男”

体重の減少が克明に記録されてゆきます。

(ただ、主人公のもともとの体重が100キロ超なんです。なので今一つ切迫感がないかな~という気も)

 

こちらも映画になっているのですが、

 

Thinner   予告編

www.youtube.com

 

出来はいまひとつ。

大きくしたり小さくしたりというよりも

痩せていく、という映像表現は難しいのかもしれませんね。

 

逆に体重の増加が止まらないのが、

篠田節子の ”家鳴り”

夫の作る料理を次々と「完食」し続ける妻の肥満が

遂には限界に達し・・・というストーリー。

(コメディー仕立てではなく、哀しいエンディングです)

 

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上田早夕里の ”くさびらの道” では

人間の身体に寄生する茸(キノコ)が登場します。

全身を胞子に覆われた患者に

人間の心は残っているのでしょうか・・・

 

「変身もの」の極致は

日本沈没” の著者である小松左京の ”地球になった男”

どこにでも居るサラリーマンの主人公、

ある日突然自分の思いのままに、姿形を変えられるようになります。

 

美しい女性や動物に変身したり

ゴジラになってみたり。

しかしいつの日か、男の胸中には寂寥感だけが残り

「そうだ、いっそのこと・・・」

と最終変身の決意に至るのです。

 

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僅か十数ページの短編なのですが、さすがの切れ味。

私の手許にある文庫版では、他の収録作品も粒ぞろいで

読み応えがありますよ。

変身系の設定も多いので、機会がありましたら

是非ご一読を。