鬼才、ジョゼフ・ロージーの1970年監督作品。
原題が、”Figures In A Landscape”
で邦題が ”風景の中の人物”
いや、あのね
絵画じゃないんだからさ。
映画のタイトルになってないでしょうよ。
(日本では実際に封切りされたのかな?)
後年にテレビ放送されたときには
”雪崩”
と変更されていますが、
あのさ~、雪崩の場面なんか
全然無いじゃないですか。
観てないんじゃない? 日本側の担当者さん。
まったくもって売る気なし、やる気なしなんですが
では出来が悪い作品かというと
さにあらず、これが見どころ満載なのですよ。
冒頭はヘリコプターからの空撮。
スケール感のある映像が展開されます。
チェイスのシーンは非常に迫力あります。
CGとかではなく、スタントでもなく
実際の役者が演じ切ってますんで。
体当たりの演技をしているのが
の二人。
なんだか知りませんが、ともかく
強大な組織から追われてるんですね。
しかし一切、説明が無いんです。
なぜ追われてるのかということについて。
そもそも、場所(ロケ地はスペインだったようです)についての
言及も無し。
セリフがあるのはこの二人だけで
追う側についてはその様子が映されているだけです。
スピルバーグの映画で ”激突” というのがありましたよね。
ある意味それに近い感触。
(本作のほうがずっと先に作られているわけですが)
もうね、理屈とか必然性とかゼロ。
ただただどこまでも追っかけられるという。
二人は逃げて逃げて逃げまくるのですが
遂には包囲されてしまいます。
マクダウェルは投降するのですが、
ショウは最後まで
襲い掛かるヘリに立ち向かいます。
大傑作かどうかは別として
観て損は無い意欲作ですよ。
少なくとももっと話題になっていいし、評価されるべき作品だと
思いますねえ。
ショウもマクダウェルも
この時点では大スターというわけではありませんが
(マクダウェルが ”時計じかけのオレンジ” で主演に起用されるのは翌年)
まさに身体を張った二人の ”体技” が見ものです。
現代都市と隔絶された大自然が舞台ですので
古臭さを感じないというポイントもありますね。
若い世代の方でも
退屈することなく
楽しめる一本であります。
Figures In a Landscape Trailer