バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

ベルイマン再び~女は、別の女のなかに自分を発見する ”仮面/ペルソナ”

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昨日に引き続いてベルイマンの作品を。

 

これはもう、女VS女

の関係性をグッと追及した

非常に濃密な84分間であります。

 

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冒頭、男の子がベッドに虚ろな表情で横たわっています。

 

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大写しになったスクリーンに女性の顔が浮かびあがりますが

ぼやけています。

 

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場面変わって、病室に二人の女。

人気のある舞台女優(リヴ・ウルマン)、突然に声が出なくなり

入院しています。

献身的にケアする看護師にビビ・アンデショーン。

 

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療養のために海辺のコテージにやってきた二人。

親密さが増していきます。

 

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寝室は別なのですが、一緒に寝ているシーンもありますし

患者と看護師の関係を超えた

セクシュアルな結びつきになっていることが示唆されています。

 

或る晩、ビビは過去の体験(こちらも性的な事柄)を

赤裸々にウルマンに告白します。

今でも自分のトラウマになっていると。

 

ところがウルマンはその内容を手紙に書いて

病院の医師に知らせようとします。

 

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激怒するビビ

「あなたのことを尊敬していたし、信頼してもいたからこそ自分の秘密を話したのに」

 

以降、二人の関係は愛憎相半ばする

キリモミ状態に。

ベルイマンがもっとも得意とする展開ですね)

 

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途中、ウルマンの体調を心配して

夫がコテージにやってくるのですが

ビビのことを ”妻” と呼びます。

 

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そして、二人はそのまま深い関係に・・・

(ウルマンにも家庭に関する悩みがあって、冒頭に出てきた男の子のシーンはウルマンと子供の関係性が破綻していることを表しているのでしょう)

 

最終的に二人は別々にコテージを出ていきます。

「ウルマンの治療」と「ビビの看護」は

普段は固く閉ざしている心の奥底を

相手の心中に見つけることで、終了したということでしょうね。

 

(ビビは私服を脱いで制服に着替え、バスに乗り込みます。またほんの一瞬ですがウルマンがカメラに向かって演技をしているショットが挟み込まれます。声を取り戻して女優業に復帰したのでしょう)

 

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ラスト、再び男の子がスクリーンに映る

女性の顔を触ろうとするのですが

その表情は霞んだままです。

 

ですので単なるハッピー・エンドではないのですが・・・

 

昨日の ”狼の時刻”と対になっている作品でもありますので

続けて観てみるのも一興かと。

(コーヒー10杯、または度数の強いアルコールが必須かも)

 

Persona    Trailer

www.youtube.com