バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

笑いと数字で病に立ち向かう~読み応え充分の闘病記2冊

 

数日前、ある訃報が。

 

社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」のリーダー、渡部又兵衛(わたべ・またべえ、本名由光=よしみつ)さんが7日午前1時22分、敗血症のため東京都江戸川区の病院で死去した。72歳。北海道出身。葬儀は近親者で行った。喪主は妻淳子(あつこ)さん。10月24日に「お別れの会」を開く予定。 大学で演劇を学び、劇団民芸を経て、1988年にザ・ニュースペーパーの創立メンバーに。政治や時事的な話題をコントし、福田康夫元首相や鈴木宗男さんらの物まねを得意とした。(11日・共同通信

 

政治ネタ~それもかなり過激なやり取りが持ち味だった

ベテラングループのリーダーだった方。

 

渡部氏は若い時分から糖尿病が悪化して

2001年に透析が始まり、

2004年にひざ下切断

以降も脳梗塞脳出血など様々な症状に襲われます。

 

上掲の書籍は2006年に発表された自伝(グラフ社)なのですが

喜劇役者としての特質を生かした異色の内容です。

 

非常に深刻な事態に何度も見舞われるわけですが

飄々と、ある種突き放した表現で

病に立ち向かう自身の日常が

ユーモラスに語られています。

 

 

お笑い界の内幕や大御所の俳優たちの素顔にも触れられていて

芸能史としても読みごたえのある好著です。

 

 

こちらは

日本を代表する科学者の一人

戸塚洋二氏の著書(立花隆編/文藝春秋

 

氏は2000年に大腸がんの手術を受けた後、

肺や脳への転移と闘いながら

2008年に亡くなりました。

 

科学の徒である筆者は医者の言葉に物足りなさを覚えます。

「よくなってますね。大きくなっていませんよ」

「数字的にも悪くはありませんから」

 

氏は可能な限りのデータを医者から受け取り

様々な角度からグラフ&図表化を試みます。

 

 

これが私の流儀、ものごとへの向かい合い方なのだと。

 

渡部氏の著作と同様、厳しい局面が続いても

淡々と記録を続けていきます。

闘病に関するパート以外にも宗教や哲学について

考察されていて、

これまた実に含蓄に富んだ一冊ですね。

 

さて自分が病を得た場合

(もうそうなっているのかもですが。検査等一切受けたことがないので・・・)

託せるというか、任せることのできる ”なにか” が

あるのかなと。

 

音楽、ですかね

それは。

 

”今朝の痛みはジミヘンのギターソロのように鋭いものだった。午後からは小康状態となり、デイブ・メイソンのレベルまで落ち着いたが、夜間に再び悪化しセロニアス・モンクのピアノソロのような落ち着かない状況が続いた。投薬のおかげでニール・ラーセンのエレピの音色に似たまどろみの中に今はいる・・・”

 

なんのこっちゃ。

 

Music Is The Light   Marty Balin 

www.youtube.com