天才漫画家、赤塚不二夫は
熱狂的な映画マニアとしても知られていますが
氏の著作のなかで
再三言及されているのが
氏の熱い思いが伝わってきますね。
映画史に燦然と輝く
この名画の魅力を改めて
見てみることにしましょうか。
(私は西部劇は得意なジャンルではないので、見当はずれだったらお許しを)
駅馬車の乗員は計9人と
結構多いんですね。
で、各人のパーソナリティを冒頭部分で手際よく紹介。
”掴みと捌き”が冴えてます。
一行はずっと馬車に乗っているわけでなく
映画の中盤は室内劇になります。
(乗客の女性が急に産気づいたため)
このパートで一旦、ためというか
落ち着きが出ますね。
最初から最後までバタバタと移動しているわけではないと。
ロマンス描写も挟み込まれていますが
サラリ、なんですね。
ウェィンは決してワンマンで押しが強いタイプではなく
むしろ控え目な言動に徹しています。
駅馬車の襲撃シーンは
圧倒的な迫力で
ひたすら画面に釘付けとしか
言いようがないですね。
この映画の(脚本の)上手さは
危機を脱した一行(犠牲者は出てしまう)は
なんとか目的地に辿り着くわけですが、
ウェィンの闘いはまだ終わってないんですね。
個人~一人の男として避けることが出来ない
決闘が待ち受けているわけです。
で、駅馬車が襲われるシーンとは対照的に
その場面は映さないんですね。
一切省略、闘いの結果だけが提示されます。
シリアス一辺倒ということでなく
ユーモラスなやり取りも多い。
9人の登場人物にそれぞれ見せ場が作られていて
単なる脇役扱いという配役が無い。
構成がパーフェクト&
エンターテインメント性も充分
というまさに映画のお手本そのものの
99分。
後進の映画監督に与えた影響は
あまりにも巨大だったことがよく分かりますね。
(黒澤明作品などに顕著)
(赤塚不二夫の洋画ベスト10)
登場する役者さん
皆良いのですけれど
一人挙げるなら
クレア・トレヴァーでしょうかね。
サッと視線を逸らす仕草が
最高です。
Satagecoach Trailer
参考図書
「これでいいのだ 赤塚不二夫対談集」/メディアファクトリー