バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

デヴィッド・クロスビー逝く~俺の心の内は俺にしか分からないのさ

 

ジェフ・ベックにしろ

大物アーティストの訃報が続きますね。

 

デヴィッド・クロスビーといえば

バーズ

クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング

という二大スーパーグループに在籍していて

知名度は抜群。

 

ただバンドのなかの立ち位置というかポジションは

どちらも三番手あたりで

リードを取る頻度も決して多くは無かったような。

 

 

私的ナンバーワンの外国(翻訳)小説、

スティーブン・キングの ”ロードワーク” に

こんな一節が。

 

「クロスビー・スティルス・ナッシュ・アンド・ヤングというグループのアルバムはあまりにもめめしかったので、膝でぶち砕いてしまった」

 

ぶち砕いたのは勿論、小説のなかの登場人物ですが

キング自身もそう感じていたのでしょうね。

 

私も正直そういう印象があったんですね。

ですんで、CSNY関連のアルバム群を

熱心に聴き込むことはありませんでした。

 

Bittersweet   Crosby and Nash

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1975年のグラハム・ナッシュとのデュオアルバム

”ウインド・オン・ザ・ウォーター” は

佳曲が多く、演奏も安定していて好盤でしたね。

 

その後クロスビーはドラッグの過剰摂取や

他メンバーとの軋轢などもあって

第一線からは退くような形に。

 

しかし2000年代に入ると

実の息子さんを加えたユニットを結成したり

旺盛に新作を発表するようになりました。

商業的なヒットにこそ繋がりませんでしたが

クロスビーの独特のテナーボイスを生かした

良作が多かったですね。

 

Secret Dancer

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結果的に遺作になってしまったのが

2021年の ”フォー・フリー”

 

これが素晴らしい内容で

曲も良いですし、

なによりクロスビーの声のコンディションがパーフェクト。

録音時に80歳近かったわけですが

往年の艶やかなボーカルが健在です。

 

死を意識したような歌詞が多く、

グレン・キャンベル

”ゴースト・オン・ザ・キャンバス”

に似た感触がありますね。

(クロスビーもキャンベルも晩年は療養中だった)

 

 

クロスビーの作る曲は

どこか抽象的で、

独特の暗さというか

ある種の諦観が漂っています。

それが分かりにくさにもなっているし

この人にしか出せない持ち味でしたね。

 

締めはこのナンバー

まさに

サヨナラのメッセージですね・・・

 

I Won't Stay For Long

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RIP  DAVID CROSBY (1941-2023)