バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

取って付けたような結末がチト厳しいか・・・戦後の小津作品 ”お茶漬けの味”

 

小津監督の1952年度作品ですが

あまり話題に上らない映画ですね。

 

 

佐分利信木暮実千代の夫婦は

性格も好みも全く正反対。

見合い当時から特別な愛情も無く、

特に木暮は完全に夫婦生活に嫌気が差しています。

 

 

料理をはじめ家事全般は全て

お手伝いさん任せ。

佐分利に適当に嘘をついて

外出しまくりです。

 

しかしある出来事(事件とまではいかない些細な事)で

木暮は今までの自分を反省、

佐分利に謝って一件落着というストーリー。

 

(佐分利は木暮にキツいことをあれこれ言われても、決して感情的にならない穏やかな性格の持ち主。慣れない炊事をする木暮の着物の裾を、そっと持ち上げています)

 

(小津映画でお馴染みの笠智衆は、この作品では完全に脇役で出番はちょっとだけ)

 

さて全体の印象はというと

うーん、これは傑作とは言えないですね。

 

流れがあまりに平坦なんですね。

東京物語” とか ”晩春” のようなメリハリの効いた展開がありません。

ラストも唐突というか(ハッピーエンドなのですが)

あまりしっくりこないエンディングです。

 

 

木暮&佐分利に対する若いカップルが

鶴田浩二津島恵子なんですが

こちらも印象が薄いですね。

(木暮はそもそも小津カラーの女優さんではありませんし、鶴田浩二より佐田啓二のほうが適役のような)

 

でも個々のシーンでは凝った箇所がありますね。

 

 

木暮に津島、淡島千景や上原葉子(加山雄三のお母さん)が

旅館で寛いでいるシーンですが

浴衣の柄がかなり派手ですよね。

 

 

旅館の部屋は池に面していて

皆で鯉に餌をやるんですが

 

 

そう、鯉をモチーフにしてるんですよね

浴衣の模様。

泳いだり水面をはねたりする動きになってます。

 

 

あとちょっとカルトチックですが

木暮が電車内で座っている場面、

向かいの席にも人が座っているようですが

見えるのが足元だけなんですね。

上半身がまったく映らないんですけれど

だとすると非常に身長があるか

どーんと寝転がっているかのどっちかかなと。

 

ただの錯覚かもしれませんが

結構ミステリアスなカットでした。

 

 

さてこの作品、英語訳は

”The Flavor of Green Tea over Rice”

となっています。

いったいどんな料理なのか

外国人にはまず、想像出来ないでしょうね。

抹茶アイスみたいなもんかな?

なんてね・・・

 

お茶漬けの味 予告編

www.youtube.com