バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

あまりにも清楚な二十才の司葉子に思わず襟を正す ”くちづけ”

 

なんと清らかな。

 

司葉子のデビュー間もない頃(1955年)ですが、

落ち着いた知的な印象もありますね。

 

 

故郷に帰省中の大学生、司。

高校生の妹には中原ひとみ

 

 

司の同級生(恋人)である

小泉博がやってきます。

 

 

司のことが気がかりな両親(藤原鎌足清川虹子)は

中原に監視役を言いつけます。

おばあちゃん(飯田蝶子)はどこ吹く風。

 

 

チラリと小泉を見て恥ずかし気に目を逸らせる司

 

 

そんな二人を興味津々で眺める中原

 

 

それにしても皆、顔立ちが美しい。

(美男美女という意味合いではなく)

一点の曇りもない、晴れ渡った青空のような笑顔です。

 

 

司と小泉のキューピット役になる

飯田蝶子の飄々とした演技が絶品です。

 

特に捻りや凝った展開もなく、

司と中原が姉妹には見えない~顔立ちが違い過ぎるので

また中原が小学生高学年や中学生のような仕草になっている

などの点がやや気にはなりますが

悪人が一人も出てこない爽やかな作品です。

 

 

監督は司とのコンビが多い鈴木英夫

後年、司は

「振り返ってみると、役者としての基本的なことは、全部鈴木英夫先生から教えていただいたように思います」

と感謝の念を述べています。

 

ちょっと面白いのは、その鈴木監督に対して辛辣な文章を残しているのが

児玉清。撮影現場での役者への ”しごき” が度を超えていたようです。

「単なるいびりの快感のためだけの、芸術という名の下の暴力には絶対に屈しないと心に誓ったのだった。監督の生贄にはなるものか」

 

 

映画は製作に携わる頭数が多いですから

人間関係が大変そうですね、

「観る」のがいちばん、宜しいようで・・・

 

 

参考図書

「君美わしく」川本三郎著・文春文庫

「負けるのは美しく」児玉清著・集英社文庫