若き若尾文子の主演作で
監督は戦前から多くの作品を手掛けている
田中重雄。
(後年には石立鉄男のテレビドラマも演出していましたね)
40数分という実に小粒な1本であります。
(1956年度製作)
撮影当時、若尾は20代前半の頃ですが
独特の魅力~
特にスタイルが良いとか顔の彫りが深いわけでもなく
都会的なスマートさも無いのですけれど
フェロモン全開の誘因力が爆発しています。
オフビートなコメディタッチで
中盤まではなかなか快調。
しかしラストの十数分は
ベタで道徳的な
ありきたりエンディングになってしまっていて
ちょっと残念。
まあ、別にストーリー自体が
もともと他愛のない話ですから
ひたすら若尾文子の美しさを愛でていれば
それで充分。
共演者では
踊りの師匠さんに扮する
藤間紫が良い味を出しています。
いちおうオチもつけてありますね。
清純さと艶めかしさを同列に発散させるのは
なかなか難しいことのように思うのですが
若尾文子の場合は
持って生まれた生来の個性なのでしょうね。
この後、増村保造監督とのタッグで
強烈な印象を残すカルト作を60年代に
これでもかと連発していくことになるわけですが。