バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

腹八分目の抑えた演出が好ましい~恋愛映画のスタンダード “ブーべの恋人”

 

1963年の伊・仏製作映画(監督/ルイジ・コメンチー二)

 

舞台は1944年、トスカーナの片田舎からスタート。

村の娘クラウディア・カルディナーレ

パルチザンの青年ジョージ・チャキリスが出逢い

二人は惹かれ合うようになります。

 

 

同じくパルチザンのクラウディアの父親も

二人の仲を認めてくれるのですが

ジョージは事件に巻き込まれ、殺人を犯してしまいます。

 

 

行方をくらますためにジョージは国外へ逃亡。

彼の不在のあいだに

真面目な勤め人(マルク・ミシェル)と付き合うようになったクラウディア。

 

そこへジョージが逮捕されたとの知らせが。

 

 

別人のようにやつれたジョージは

「君のことを忘れたことはない」

と一言。

 

 

自分のことを気にかけてくれるマルク

(勤め先も紹介してくれた)

とのあいだで、クラウディアの心は揺れ動きます。

 

 

ジョージの裁判当日

証人として呼ばれたクラウディア

彼女の証言内容が

ジョージの量刑に大きな影響を与えることになります。

 

傍聴席には父親やジョージの仲間の姿が。

クラウディアはどのような証言をおこなうのか?

そして下された判決とは?

 

 

クラウディア・カルディナーレはまさにはまり役。

脚本もよく練られていますし

随所にスタイリッシュなカットが散りばめられています。

 

マイナー調のタイトルテーマは日本語の歌詞を付けて

いしだあゆみザ・ピーナッツのカバーレコードが出されたりしました。

 

 

いくらでも ”盛る” ことが出来るストーリーなのですが

激情にかられて激しくぶつかり合うシーンはほとんど無く

むしろ淡々とした進行。

(特に前半パート)

 

特筆すべきはクラウディアの周囲の登場人物。

家族、ジョージ、マルク、その友人たちは

基本、皆善良なパーソナリティで

クラウディアの決断や行動を尊重しています。

(クラウディアに辛くあたったり虐めたりということはない)

 

ですので極端にシリアス(あるいはセンチメンタル)なムードになることなく

柔らかい感触が画面から伝わってくるので

女性からの支持が高いのでしょうね。

 

 

くどくないけれど

しっかり味付けがされていて

前菜から食後のデザートまで

美味しく頂けた

~そんなイタリア料理店のような

素敵な佳作です。

 

'La ragazza di Bube'   Trailer

www.youtube.com