バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

ロケ撮影が素晴らしい米国フィルムノワールの秀作 ”死の接吻”

 

ヘンリー・ハサウェイ監督の1947年作品。

 

これは見どころの多い小傑作ですね。

ジャンルでいうと犯罪映画なんですが

派手なカーチェイスとか銃撃戦はありません。

会話主体の重心の低い仕上がりです。

 

 

マフィアの一員ヴィクター・マチュア

仲間二人と宝石店を襲いますが失敗

彼だけが捕まります。

 

 

収監中は組織が

ヴィクターの家族を保護してくれる

手筈になっていたのですが

それは空約束で

絶望した妻は自殺

幼い子供二人は孤児院に。

 

 

それを知ったヴィクターは怒り爆発

司法取引で共犯者の名前を明かす代わりに

自身は釈放、復讐を誓います。

 

 

そんなヴィクターの前に立ちはだかるのが

冷酷無比なギャング

リチャード・ウィドマーク

 

 

リチャードは殺人行為など朝飯前

通常の倫理観など完全に欠如している

超危険な狂犬です。

 

 

身の危険を感じたヴィクターは

孤児院から引き取った

二人の子供を安全な場所に避難させ

リチャード一味が巣食うアジトへ乗り込んでいくのでした・・・

 

 

ヴィクターを助ける(出所後に結婚)コリーン・グレイが好演。

しかしなんといっても印象的なのが

リチャード・ウィドマーク

本作がデビュー作でありながら

いきなりゴールデングローブ賞を受賞

アカデミー賞にもノミネートされました。

 

 

特筆すべきはカメラ撮影の素晴らしさ。

(撮影/ノーバート・プロダイン)

映画の冒頭で屋内外ともに現地ロケを敢行している

とのテロップが出るのですが

 

 

刑務所シーンも

スタジオのセットでなく実在の施設。

 

 

野外シーンもニューヨーク(&近郊)各地で

丁寧に撮影されています。

 

原作は同名の小説なのですが

幾つか変更されている箇所があるようですね。

(倫理規定に触れてしまうので)

そういえばラストシーンはちょっと唐突というか

尻切れトンボ気味です。

 

 

撮影されていながら

まるごとカットされたシークエンスもあって

それは「オーブンに頭を突っ込んで自死するヴィクターの奥さん」

の場面だったとのこと。

(奥さん役はパトリシア・モリソン)

 

ちょっと観てみたかった?

気もしますね。

 

"KISS OF DEATH" (1947)    Trailer

www.youtube.com