”映画祭の帝王”~ミヒャエル・ハネケの長編デビュー作
(1989年/オーストリア)
衝撃度、という点では
(バイオレンスとか流血シーン云々といったことではなく)
洋画日本映画問わず、最高にヘビーな一本かと。
観る人全ての心の奥底に突き刺さる
104分間です。
小学生の娘を持つ夫婦
共働きで忙しい毎日なのですが、
家族揃っての穏やかな朝食の風景
(子供はシリアル&ミルク入りのコーヒー)
しかし、三人は勤め先や学校で
強いストレスを日々感じています。
映画の冒頭から
車のナンバープレート、スーパーのレジやレシート、職場におけるドキュメントの
クローズアップシーンが多数。
全てが数字で表され、その高低で評価されている現代社会への
アンチテーゼですね。
夫婦は決意します。
もう、こんな世の中には居たくないと。
気がかりは娘のことなのですが、
ニッコリと微笑んだ娘は
「死は怖くない。私も一緒に”行く”」
と両親に伝えます。
夫婦は車を処分し、口座も解約
夫は電動工具を買い込んで
(ここからが凄いのですが)
家族で”協力して” 家の内部を破壊していきます。
洋服は裁断、想い出のアルバムも全て破り捨て
多額の現金を水栓トイレに流してしまいます。
そして順番に毒薬を服用して
最後の時を迎えていくのです。
この間、家族のあいだで激しい口論などがありません。
(感情が揺れ動くシーンはあります)
その意味では仲の良い夫婦、親子なのです。
子役の LENI TANZAR の演技が秀逸!
タイトルの SEVENTH CONTINENT~7番目の大陸
とは想像上の見果てぬ別天地(実際は死、なのですが)
を指すのでしょう。
黄泉の国のような海岸が何回か、画面に登場します。
実話をベースにして制作されたようですが
観る人によっては(というより多くの人は)
かなり不快感~監督の意図に対して
を覚えるかもしれませんね。
私は、とても好きな1本です。
マイベスト100
いや40入りかな。
おっと、いけませんね
数字に縛られるのは・・・・
The Seventh Continent Car Wash Scene