
久し振りに読んだ
桐野夏生の長編単行本

”日没” 岩波書店
発行が2020年9月ということなので
比較的最近の作品です。
お話は
過激(反体制的なスタンス)な小説を発表していた
40代の女性作家が
政府の運営する隔離施設に連行され
「思想改造」を強要されるという
国内外問わず、小説のモチーフとしては
よくある設定ですね。
非常に読み易いんですけども
普通
なんですよ
淡白というか
突っ込み度が薄いような
かつての桐野作品に感じられた
”凍えるような文体” では
ないんですよ

90年代中頃から2000年代にかけて
発表された作品群にあったような
他者をまったく寄せ付けない
孤高の輝きが失せているんですよね・・・

その「普通化」は2005年くらいから
始まっていて
その頃から新作単行本を買わなくなってしまったんですけれど

音楽の世界でいうと
ジョニ・ミッチェルと被るような。
1970年代までの彼女の作品は
圧倒的なんですね。
群を抜いてるんですよ、他のアーティストが束になっても
敵わない。

でも80年代以降は
急速にその輝きが失せてしまう
一定の水準は保つけれども
もう魔法は解けてしまっている
創作表現のピークって
決して長くないんですよね
どんなジャンルでも
ほんの数年、長くて10年程度ですよ。
だからこそ
その時期に発表された作品って
いつまでも色褪せることが無いわけですけれど・・・
