巨匠、市川崑の晩年の作品(2000年公開)
もともとの脚本が書かれたのが1960年代、
錚々たる顔ぶれの共同執筆です。
”うまく泳いで”
悪い奴らを一網打尽、根こそぎやっつけるというお話で
黒澤監督の ”用心棒” と似た構成です。
役所はさしずめ、ソフィスティケートされた三船敏郎ですね。
共演陣は豪華な顔ぶれが揃っています。
重要な役どころで宇崎竜童、
役所の良き理解者に片岡鶴太郎
役所をどこまでも追いかける気の強い女に浅野ゆう子
この辺りが登場シーンが多いのですけれど
ウーン、ちょっと・・・
宇崎は「仲代達矢的」なポジションなのですが
どうもそれは厳しいかなと。
役所と片岡の会話は
ほぼ完全に現代~今の言葉使いになっていたりして
まるで刑事ドラマを観ているよう。それはそれで面白いのですが。
芸達者なメンツが揃っているのですが
人物造形が類型的で面白味なし。
もっと見せ場が作れる人たちですから、勿体無いような。
どうせなら(という言い方も変ですが)、とことん弾けたテイストの
エンタメ路線に徹したほうが良かったのでは?
というのが素直な感想です。
しかし御歳から考えると、きっちりまとめて撮りきったというのは
やはり凄いですね、市川監督。
どら平太 予告編
さてこの年にはもう一本、
黒澤明絡みの映画が製作されています。
長年黒澤監督に師事した
小泉堯史が監督にあたっています。
全体のまとまりも良いように感じますね。
黒澤、小林、木下の三氏は90年代後半に
相次いで亡くなっているのですが
これらの作品を天国で観て、どう感じたでしょうね。
多分、最初はまず褒めて
「しかしな、俺ならこう撮るな」
と黒澤、小林の二人が議論伯仲。
木下監督は横でニヤニヤ笑っている・・・
そんな気がします。
雨あがる 予告編