バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

盟友たちの思いを継いで・・・84歳の市川崑監督作品 ”どら平太”

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巨匠、市川崑の晩年の作品(2000年公開)

 

もともとの脚本が書かれたのが1960年代、

市川に加えて黒澤明小林正樹木下惠介

錚々たる顔ぶれの共同執筆です。

 

町奉行に扮する役所広司

”うまく泳いで”

悪い奴らを一網打尽、根こそぎやっつけるというお話で

黒澤監督の ”用心棒” と似た構成です。

 

役所はさしずめ、ソフィスティケートされた三船敏郎ですね。

 

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共演陣は豪華な顔ぶれが揃っています。

 

重要な役どころで宇崎竜童、

役所の良き理解者に片岡鶴太郎

役所をどこまでも追いかける気の強い女に浅野ゆう子

 

この辺りが登場シーンが多いのですけれど

ウーン、ちょっと・・・

宇崎は「仲代達矢的」なポジションなのですが

どうもそれは厳しいかなと。

 

役所と片岡の会話は

ほぼ完全に現代~今の言葉使いになっていたりして

まるで刑事ドラマを観ているよう。それはそれで面白いのですが。

 

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腹黒重職には大滝秀治神山繁加藤武

芸達者なメンツが揃っているのですが

人物造形が類型的で面白味なし。

もっと見せ場が作れる人たちですから、勿体無いような。

 

どうせなら(という言い方も変ですが)、とことん弾けたテイストの

エンタメ路線に徹したほうが良かったのでは?

というのが素直な感想です。

しかし御歳から考えると、きっちりまとめて撮りきったというのは

やはり凄いですね、市川監督。

 

どら平太 予告編

www.youtube.com

 

さてこの年にはもう一本、

黒澤明絡みの映画が製作されています。

 

どら平太”と同じく、山本周五郎原作の ”雨あがる”

 

長年黒澤監督に師事した

小泉堯史が監督にあたっています。

 

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主演は寺尾聰宮崎美子

三船敏郎の実子、三船史郎の演技が素晴らしく

全体のまとまりも良いように感じますね。

 

黒澤、小林、木下の三氏は90年代後半に

相次いで亡くなっているのですが

これらの作品を天国で観て、どう感じたでしょうね。

 

多分、最初はまず褒めて

「しかしな、俺ならこう撮るな」

と黒澤、小林の二人が議論伯仲。

木下監督は横でニヤニヤ笑っている・・・

そんな気がします。

 

雨あがる 予告編

www.youtube.com