バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

映画

永久に ”サイコ” と比較される運命か・・・マイケル・パウエルの ”血を吸うカメラ”

これは今や この手のサイコスリラー系統としては 定番中の定番。 その際に必ず 引き合いに出されるのが ヒッチコックの有名作 ”サイコ” 確かにテーマがまず共通~ヤバい性格のシリアルキラー男性による殺人事件 どちらの男も親との関係性に問題があった 公開…

アカデミー賞に「体技女優」部門があったら、それはこの人キャスリン・マクガイア

バスター・キートンの1924年作品。 "THE NAVIGATOR" 舞台は通常の陸地ではなく 大型客船内、海上、海中、離れ小島という設定が まず面白い。 キートンは自ら 当時は非常に危険だった 水中撮影にもトライ。 まさに身体を張っています。 (いつものことで…

”素直な悪女” で ”可愛い悪魔” BBの人気作品2本

邦題の語感が似ているので どっちがどっちだか 混乱しちゃうんですけれど いずれもBB~ブリジット・バルドーの主演作です。 いきなり、これですから。 掴みがあまりにも完璧。 ロジェ・ヴァデム監督の ”素直な悪女”(1956年) ドイツの名優 クルト・ユン…

シャチほこばった出来になってしまいました・・・動物パニック映画 ”オルカ”

1977年製作のアメリカ映画(監督/マイケル・アンダーソン) いわゆる動物パニックものですね。 主人公はORCA~シャチ なんですよ。 メス(お腹のなかに子供が居る)のシャチが 漁師に撃たれて死んでしまうのです。 一部始終を見ていたオスがですね 復讐…

芸達者の的確な演技が画面を引き締める "QUICKSAND~流砂"

ミッキー・ルーニー主演、1950年のアメリカ映画 (監督/アービング・ピシェル) 自動車整備工のルーニー デート代欲しさに 勤務先のレジから20ドルをくすねてしまいます。 明日早めに来て 返せばいいだろう・・・ ルーニーが一目惚れしてしまった カ…

超一流の製作陣、しかし重厚というよりは躍動感が無いような・・・"L・B・ジョーンズの解放”

この作品は映画界の巨匠 ウィリアム・ワイラーの最終作(1970年)で、 スターリング・シリファント(脚本) ロバート・サーティース(撮影) エルマー・バーンスタイン(音楽) の主要スタッフも全員アカデミー賞受賞者という 豪華な顔ぶれが揃っていま…

のってけ、のってけ~SURF’S UP !

これはもう C級ムービーど真ん中 "THE BEACH GIRLS AND THE MONSTER" という1965年公開のアメリカ映画なんですが。 (オリジナルはモノクロ) 当時流行していた ~といってもかなり末期の頃かと思いますが、 サーフィンブームに安易にのっかった 脱力ホ…

アメリカ版金八先生、熱血教師物語の "CONRACK"

この映画は実話に基づいています、 との字幕でスタートする 1974年のアメリカ映画 (監督/マーティン・リット) 1969年、サウスキャロライナ州の離れ小島に 赴任してきた青年教師ジョン・ヴォイトですが 生徒達のあまりのやる気の無さと 社会への無…

巨匠黒澤の異色スピンオフ ”どですかでん” 監督の言いたかったことって実は・・・

1970年製作の ”どですかでん” 黒澤明監督の初カラー作品ですが 興行的には失敗。 評価のほうも一般的にはあまりよろしくなく、 ちょっと風変わりな出来映え との捉え方がされていますね。 原作が山本周五郎の ”季節のない街” 文庫本で400頁を超える …

RE-MAKE/RE-MODEL ”紀元前百万年” VS ”恐竜100万年”

オリジナル&リメイク どちらも親しまれている作品ですね。 ”紀元前百万年” が1940年製作(監督/ハル・ローチ) ”恐竜100万年” が1966年製作(監督/ドン・チャフィ) 石器時代の人間と恐竜(巨大生物)のお話ですが 早速シーン毎に観比べていき…

噛めば噛むほど味が出る~そんなサスペンス&ロマンス映画 "堕ちた天使”

オットー・プレミンジャー監督の初期作品 "FALLEN ANGEL" (1945年) それほど話題に上る作品ではないですが (そして実際いまひとつ盛り上がりに欠けるのですが) 観どころの多い一本でもあるんですよ。 ヒロインが二人 リンダ・ダーネルが悪女~魔性の…

60代で逝った名優二人 萩原健一&根津甚八

ある程度の年齢の方で ショーケン~萩原健一 のことをまったく知らない 聞いたことも見たこともない そんな人は皆無でしょう。 テンプターズやPYG、ソロでの音楽活動 数々の映画やテレビで発揮された 圧倒的な存在感は唯一無二のものでした。 ”ショーケン”(…

用事が無くても会う日本人の知り合いは誰も居ない

私もそこそこ タイでの暮らしが長くなりましたが 日本人の知り合い~在タイで付き合いのある人 はゼロですね。 誰も居ません。 なにか用件、用事がある場合は別ですよ。 でもそれはその時々のことであって 継続性のあるものではない。 理由は話題~トピック …

師には変わらぬ尊敬を、妻には永遠の愛を・・・

100歳で世を去る直前まで 精力的に映画製作を続けた 新藤兼人監督。 徴兵、撮影所の下積みの後 39歳での初監督作品が ”愛妻物語” (1951年) 監督自身の半生をベースにした 自書伝的内容で 宇野重吉が夫(新藤) 乙羽信子が妻を演じます。 新藤監督…

JAZZシンガー、アビー・リンカーン主演の力作映画 "NOTHING BUT A MAN"

1964年のアメリカ映画。 (監督/マイケル・ローマー) 大手でなくインディペンデント系の配給だったようで あまり知られている作品ではないですが これは素晴らしい出来映え。 舞台はアラバマ州のバーミングハム 鉄道線の補修作業員として働くアイヴァ…

日本語タイトルが長すぎる! ”墓場にて/魔界への招待・そこは地獄の始発駅”

イギリスのアミカス・プロ製作の オムニバスホラー映画(1973年) 前年の ”魔界からの招待状” がヒットしたので その続編ですね。 エレベーターに5人の男が乗り込んできます。 しかし着いたのは見知らぬ部屋 あれっ、こんなフロアあったっけ? でも上等…

チャップリン&セッシュウ

2005年に発表された ”五月十五日のチャップリン”(川田武・講談社文庫) という歴史ミステリー小説。 かのチャップリンとヒトラーが 若き日にオーストリアのウィーンで 出逢っていたという場面からスタート。 (ヒトラーは実際に売れない画家として不遇…

腹八分目の抑えた演出が好ましい~恋愛映画のスタンダード “ブーべの恋人”

1963年の伊・仏製作映画(監督/ルイジ・コメンチー二) 舞台は1944年、トスカーナの片田舎からスタート。 村の娘クラウディア・カルディナーレと パルチザンの青年ジョージ・チャキリスが出逢い 二人は惹かれ合うようになります。 同じくパルチザン…

見果てぬOKINAWA

ここ数年 沖縄の名前を耳にする機会が多いような。 コロナであったり自然災害であったりと あまり喜ばしいトピックではありませんが。 ”ひめゆりの塔” ”特攻 最後の証言” 私は一度も沖縄に行ったことが無く あるのは映画や書籍から得た ごく限られたイメージ…

暴力&暴走? 実は脚本が練り込まれているサム・ペキンパーの傑作 ”ガルシアの首”

一部で熱狂的なファンがいる サム・ペキンパーの1974年作品。 登場人物の多くが死んでいく(殺されていく)映画です。 舞台はメキシコ 食い詰めた中年男(ウォーレン・オーツ)は 100万ドルという巨額の懸賞金話を聞きつけます。 ガールフレンド(イ…

ゴテゴテ感が見どころ? ポランスキーの二番煎じ "黒衣の婦人の香り" (1974年)

古ぼけた1枚の家族写真がタイトルバック。 なかなかに期待を抱かせるオープニングです。 ローマの薬品研究所に勤めるミムジー・ファーマー 大学教授の彼氏も居て 表面的には何ひとつ不自由の無い毎日なのですが アパートの隣人や友人全てから 行動の逐一を…

見上げて見下ろして・・・撮影テクニックに酔いしれる "PICKUP ON SOUTH STREET"

これは冴えた映画ですねえ。 サミュエル・フラーの1953年作ですが 観て損のないシャープな80分です。 (長過ぎないのがまたGOOD) ニューヨークの地下鉄車内 若いスリの男(リチャード・ウィドマーク)が 女(ジーン・ピーターズ)のハンドバックから …

小津安二郎と春夏秋冬

小津安二郎の戦後の作品、 そのタイトルには季節~季節の風物を 冠したものが多いんですね。 ”晩春” ”麦秋” ”早春” "彼岸花” ”秋日和” ”小早川家の秋” ”秋刀魚の味” これはちょっと目を惹きますね。 というのも同時代の他の監督作品では そういうことはあま…

技あり! 1967年度のアカデミー外国語映画賞受賞 "CLOSELY WATCHED TRAINS"

う~ん 上手い! としか言いようないくらい 完成されてますね。 監督(イジー・メンツェル/チェコスロバキア)が まだ20代の時の作品ですが。 第二次世界大戦下のチェコスロバキアの片田舎、 駅員見習いの若者と 彼を取り巻く住人とのやり取りを ユーモラ…

用水建設をテーマにした力作、しかし音楽があまりに TOO MUCH な ”箱根風雲録”

社会派の山本薩夫監督の1952年作品。 当時は独立プロが制作に関わった映画が多く作られましたが こちらも前進座の座員総出演の 力の入った140分弱です。 裕福な町人、河原崎長十郎と山田五十鈴の夫婦 私財を投げ打って 箱根用水の建設に命を賭けます…

私は吸血鬼じゃなくて吸血美人なのよ~"MARY, MARY, BLOODY MARY"

これはちょっと毛色の変わった ホラー/サスペンス映画ですね。 アメリカとメキシコの共同製作で 監督はメキシコ人のファン・ロペス・モクテズマ 俳優陣は米&メキシコの混成チームです。 主演のクリスティナ・フェラーレは メキシコに住んでいるアメリカ人…

100年前の映画でも、エンタメ要素がてんこ盛り~”魔術師”

"THE MAGICIAN" というタイトルの映画は多数製作されていますが こちらはレックス・イングラム監督の 1926年作品。 アメリカ映画ですが、大々的にフランスでロケが行われています。 アリス・テリーは彫刻家。 制作中の巨大彫像が崩れ落ちてきて 半身不随…

肩の凝らない映画はないか?しかもごく短いヤツ、そんな時には ”新婚日記 嬉しい朝”

若き若尾文子の主演作で 監督は戦前から多くの作品を手掛けている 田中重雄。 (後年には石立鉄男のテレビドラマも演出していましたね) 40数分という実に小粒な1本であります。 (1956年度製作) 撮影当時、若尾は20代前半の頃ですが 独特の魅力~…

幾つものジキルとハイド

”ジキル博士とハイド氏” あまりにも有名な小説(ロバート・ルイス・スティーヴンソン/1884年)で、 映画化も相当数なされています。 なかでも評価の高い作品が 1920年の ”狂へる悪魔” (監督/ジョン・S・ロバートソン) ジキル博士(ジョン・バリ…

巨大植物が歩いて人を襲う! "THE DAY OF THE TRIFFIDS"

邦題が ”人類SOS” というイギリス映画(1962年) マニアックなSFファンにはよく知られている作品ですね。 (原作/ジョン・ウィンダム) ある晩、地球に流星群が飛来して それを目撃した人は全員 視力を失ってしまいます。 たまたま眼の手術で病院に入院…