バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

書籍

過去も未来もすべて雪のなかに埋もれていった・・・盛らない佳作 "シンプル・プラン"

これは良作ですね、見る価値のある一本です。 監督はサム・ライミ 音楽にダニー・エルフマン 配役はビル・パクストン、ビリー・ボブ・ソーントン、ブリジット・フォンダ という強力布陣。 オハイオ州の田舎町に暮らすビル&ブリジット夫婦 夫は極めて真面目…

目覚めると男は、虫ではなく地球になっていた~”変身”小説の数々

自分の身体に変化が起きる~ およそ好ましくない場合がほとんどですが、 そういった設定の小説や映画は多いですよね。 かのカフカの ”変身” 映画では、次から次へと製作されるゾンビもの などがすぐ思い浮かぶところ。 リチャード・マシスンの ”縮みゆく男” …

夜は千の目、酒は千の顔をもつ

例えば煙草、 私は全く吸わないのですが おそらくその効果って 落ち着く~一息入れるといった方向ではないかと。 よし、盛り上がるぞ!といった期待があるわけではないですよね。 薬~ 医師が処方したり薬局で買うもの & ”やっちゃあ、いけない薬” 膨大な種…

二宮和也&松浦亜弥の好演が光る「湘南クライムストーリー」~”青の炎”

舞台は湘南、海に近いエリアですね。 二宮と松浦は高校2年の同級生という設定。 江ノ電 江の島 藤沢駅 数十年前、子供時分(高校まで)に住んでいたエリアですので ロケの場所には親近感を覚えます。 ストーリーは決して明るくありません。 かなり衝撃的な…

時空を超えた「赦し」の物語~ ”イアラ” と ”イントレランス”

”イアラ” は1970年に青年誌で連載された 楳図かずおの作品ですが、非ホラー系の代表作として 評価の高い一冊です。 地球の誕生からその終末までを描いている スケールの大きさに加え 哲学的とも言える科白も多く登場する 一筋縄ではいかない内容構成にな…

妻から夫~女から男への、最後のラブレター三通

中島らもの著作はかなり読みました。 (膨大な数になりますので全部ではありませんが) エッセイはお手の物で、字数に合わせてピタリと決める。 小説では長編よりも短編に好きな作品が多かったですね。 (長くなると、ご本人が執筆途中で飽きてしまう&ダレ…

あなたはどのバージョンがお好き? ”白い巨塔”で感じる世代のギャップ

先日、年下の知人と話していて どういう流れか ”白い巨塔” の話になったんですね。 で、私は1970年代の田宮二郎主演のテレビドラマ のことかと思って 役者さんの名前を挙げたりしたんですが どうも話が噛み合わない。 知人が言っていたのは後年の 唐沢版…

至上の快楽~本・映画・音楽の三通りの楽しみ方

半世紀以上の ”親友~旧友たち” との付き合い方なんですが、 自分の場合の。 まずはともかく読む、観る、聴くと。 なんとなく目についた 今流行ってる 友人が良いと言っていた なんでもいいんですね、きっかけは。 結果、面白い!感動した!作品世界に惹き込…

WHERE IS ノストラダムス NOW ?

ある程度(というか、かなりシニア)の年齢の人ですと ノストラダムスという名前に覚えがあるのでは? そう、1970年代に ”ノストラダムスの大予言” という新書が大ベストセラーになりましたね。 私も当時、小学生だったかな 買いましたよ、この本。 19…

ウルトラセブン VS コロナウイルス

まあ、だいたい 大きくなりますね ウルトラマンやウルトラセブンは。 ハヤタやダンから変身する時に。 ところがウルトラセブンの第31話 ”悪魔の住む花”(1968年5月放送)は 小さくなるストーリー。 宇宙細菌に侵されてしまった女性 (若き日の松坂慶…

主婦、脱出。

主婦がなにかの事情をきっかけに 家庭を捨てる、飛び出すという 構成のストーリーはかなりあると思いますが スティーヴン・キングの ”ローズ・マダー” は 追う側(夫)のしつこさではピカイチのくどさ。 何しろ旦那の職業は警察官なので、追跡のプロですから…

ベストというよりお気に入り 漫画パーソナルTOP20

決して全般詳しいわけでもないのですが 漫画の私的フェイバリットを今回は。 縛りは同一作家で3作までということで・・・ 楳図かずお ”漂流教室” ”神の左手 悪魔の右手” ”夏の終わり” ”漂流教室” はお馴染みですね。一番最初に夢中になった漫画、今から半世…

TOKYOを江戸に戻したら、”いきちょん” じゃない?

江戸時代と現代の日本を頻繁に行ったり来たりしていた 杉浦日向子(今は江戸に長逗留中) の著作には江戸の風物が活き活きと描かれています。 その流麗な筆使いもあって 江戸の時代はある種のパラダイスのようにも見えたりします。 ひっとして今の時代よりも…

私の死亡記事 あの人の死亡記事

手許に毛色の変わった一冊があります。 ”私の死亡記事”(文藝春秋) 各界の著名人に 「あなたが死ぬ時の記事をご自分で書いてください」 とリクエストして、寄せられた文章を集めたもの。 100人以上の「死亡記事」が掲載されていますが ほとんどの人は洒…

花に嵐の・・・

近所の小径を歩いていたら まるでペンキをぶちまけたような 見事なまでに鮮やかな散りっぷり 映画監督、川島雄三がよく口にしていたという 井伏鱒二の「花ニ嵐ノタトエモアルゾ、サヨナラダケガ人生ダ」 という科白がなんとなく浮かんできました。 家に帰る…

ネバーエンディング積ん読

うーん、読んでないなあ。 結構前に買ったものも多いなあ。 溜まる一方だなあ。 子供の頃は、読み終わってない本があると それが罪悪のように感じたものだけれども。 多分、棚の奥とかにはもっと眠ってるんだろうなあ。 ちょっと整理しようかな、 奥のものを…

本の中身と表~沢木耕太郎の著作より

こちらは沢木耕太郎の ”無名” 作者の父の看取りの記録。 若き日の父の記憶と 残された俳句の数々から 父の心中~生前には語られることのなかった に想いを馳せます。 日本屈指のクライマー 山野井泰史と妙子夫妻の極限の登山行。 ヒマラヤ山脈の未踏の高峰に…

SARS,CORONA,TAKAO SAITO

コロナ、でなくて SARS なんですけれどもね。 今のバージョン2の前の1。 古い雑誌を読んでいたら、 (旅行人 165号) 2003年の日本人の海外渡航者数は 前年に比べて300万人以上減ったと。 確かに各種報道でも大きく取り上げられていた 記憶があ…

それぞれの小説作法~極端と限界の分水嶺

さて今回は ”強烈な” 描写に満ち満ちた 小説群を幾つか。 お食事前の方はどうぞ ご遠慮くださいませ・・・ (デブを捨てに/平山夢明 文藝春秋) いきなりインパクトのあるタイトル &ドアーズの ”まぼろしの世界” のジャケットを どことなく連想させる装丁…

天下御免~天下堂々~とんでもねえ野郎

今から50年くらい前 NHKで ”天下御免” という連続時代劇があったんですね。 現代のロケシーンをそのまま写り込ませたりして かなり実験的な作品。 テンポもよくて毎週楽しみにしてたんですよ。 主役は 山口崇、林隆三、津坂匠章(秋野太作)に中野良子 と…

密室でござる~広いところに閉じ込めて

推理小説のジャンルで 昔からもっとも人気のある 「密室」もの。 日本の小説では 江戸川乱歩の ”D坂の殺人事件” ”屋根裏の散歩者” などが特に有名ですね。 近年、特にこの分野で力作を連発しているのが 貴志祐介の 防犯探偵・榎本シリーズ ”硝子のハンマー” …

怒涛の執筆量、巨匠松本清張のマイ・セレクション7冊

亡くなられてから30年近く経ちますが 今なお知名度が圧倒的であろう 作家の松本清張。 何より残された作品数が膨大で かつ映画化、テレビドラマ化も 同一の作品で何度も行われたりしていますので 若い世代の方にも、比較的浸透しているのではないでしょう…

NO GOODBYE NORMA JEANE~マリリン、そしてエルトン

こちらの書籍は ”マリリン・モンロー 魂のかけら” (スタンリー・バックサル ベルナール・コマーン編 井上篤夫訳/青幻社) マリリンが生前に残したメモや手紙、詩などが 自筆のまま公開されています。 彼女の私生活は幼少時から波乱続きで それは1962年…

行くなら日本、それとも西欧の地獄? ロビン・ウィリアムズ&中川信夫

名優、ロビン・ウィリアムズの主演作 ”奇蹟の輝き~WHAT DERAMS MAY COME”(1998年) 事故死して天国に行ったウィリアムズが その後、自殺して地獄に墜ちてしまった妻(アナベラ・シオラ) を助けに向かうというファンタジー色の強い内容。 原作は ”地球…

女と男 妻と夫 そして生と死

これは大著です。 頁にして650超、 内容がまた極めてヘビー。 小説家島尾敏雄とその妻、ミホとの 激烈な愛憎の歴史を克明に追った ルポルタージュ。 歴史上の人物や政治家、芸術家、芸能人などの 評伝は多数ありますけれど これほど、対象の内面に迫った…

菅井一郎と杉村春子の演技に唸る、豊田四郎監督作品 ”小島の春”

戦後に ”夫婦善哉” ”猫と庄造と二人のをんな” などの名作を送り出した 豊田監督の1940年度作品。 主題は 当時業病と恐れられていた ハンセン病です。 ハンセン病については多数の著書がありますが 上掲の書籍は、 療養所のなかに更に”隔離施設”が設けら…

ミュンヘンオリンピックの金メダル & ”ブラック・サンデー”

1972年に開催されたミュンヘンオリンピック 各競技で一番印象に残っているのが 松平監督率いる男子バレーボールチームの優勝。 当時はテレビで ”ミュンヘンへの道” という アニメーションと実写パートを組み合わせていた番組があって 盛り上がっていたん…

世界最高峰の文学作品 ”罪と罰” を再読するも、僅か67ページで挫折する

この世の中にいったい、 どれだけの数の小説があるか知りませんが それらすべての頂点、絶対的な存在であろう ドストエフスキーの ”罪と罰” 遠い遠い昔に読んだとは思うのですが 棚の奥の奥に、文庫本がありましたので なにげに手にとって頁をめくってみまし…

活字を食べ続けた男~立花隆が逝く

ちょっと前の報道ですけれど ジャーナリストの立花隆が亡くなられたという。 熱心な読者ということではまったくなく、 そもそも手許に残っているのは2~3冊だけという 寂しい状況なんですが、一つの時代が終わった という感を強く持ちました。 (文藝春秋 …

人間と異形の生物が一緒に暮らす街、愉快なオフビート漫画 ”栞と紙魚子”

天才、偉人、空前絶後の漫画家 諸星大二郎のホラー・コメディ。 少女誌への連載ということで 私はリアルタイムでは読んだことはなかったのですが (1995年から休載期間を挟みながら断続的に掲載) これは最高に楽しいシリーズですね。 舞台は東京近郊の…